裕次郎の「ブランデーグラス」に乗って
赤ワインを夢とともに揺らしている。
昭和歌謡の連発に
そろそろ浪花の小姑からクレームが舞い込みそうだ。
二人して席をいったん離れ、
チケッティ(つまみ)の並ぶショーケースへ。
イタリアのチケッティはスペインのタパスに当たる。
相方がトリッパ(牛胃)を択び、
J.C.はカルチョーフィ(アーティチョーク)と
ポルペットをー。
何だ、そのカルチョーフィは? ってか?
日本語で朝鮮あざみのことなんすが
エッ? もっと判らないってか?
覚えてるかなァ、半世紀も昔。
ヒデとロザンナがCMをやってたチナールという、
イタリアのリキュール。
あれがカルチョーフィの酒だったんです。
一方のポルペットはイタリアのミートボール。
ポルペッテの表記が一般的でポルペットだと
フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州の
自治体(コムーネ)を指す。
でも、当店はポルペット。
犬猫問わず、ペットが好きだから文句はないけどネ。
料理としては南イタリア、
それもシチリアが本場じゃなかろうかー。
映画「ゴッドファーザー」で
コルレオーネ一家の代貸が
自ら腕を振るっていたネ。
数日前にミッドタウンの「スーザンズ」で食べた、
ミートボールと比べるつもりだったが
結果は「ヴェネツィア酒場」の圧勝。
とても美味しかった。
トリッパもカルチョーフィもまことにけっこう。
ネッビオーロとの相性、悪いわけがなく、
互いに互いを励まし合う。
シナジー効果、ここに極まれり。
ネッビオーロとなれば、
やはり同郷のポルチーニが欲しくなる。
確か、ラヴィオリがあったハズ。
マダムに訊ねた。
この女性、店主をオーナーと呼んだから
ご夫婦ではないかもしれない。
当夜、ポルチーニの料理はなく、
ルマーカ(エスカルゴ)のクリーム煮に
加えるのは可能とのこと、即刻お願いした。
う~ん、いいネ、いいですネ。
=つづく=