2023年1月19日木曜日

第3192話 はしご酒は本八幡 (その3)

市川市・本八幡の「ヴェネツィア酒場」。
酒も料理も文句ナシ。
ポルチーニにはクリームがピッタリ。
北イタリアはクリームを好むが
南に下ると。トマトの人気が高まる。
イタリア人の宿命はそんなところにあるのだ。

パスタで締めるとしよう。
相方のリクエストはイカ墨だった。
マダムにイカ墨はパスタに打ち込みか、
白いパスタに黒いイカ墨ソースかを訊ね、
後者だったので二人は歓んだ次第なり。
食べた後は鉄漿(おはぐろ)状態必至だけどネ。

細打ちのスパゲッティーニ、
いや、フェデリーニかな?
この一皿もけっこうでした。
生イカがそこそこ主張して好い塩梅だった。

J.C.は仕上げにグラッパを1杯いただき、
会計は1万2千円ほど。
良質のワインが5千円と相当にCPが高い。
これで別れる二人ではない。
とは言え、あと2~3杯のつもりなり。

先刻の「馬越」に向かう途中、
気軽に入れそうな立ち飲み酒場を
見とめていたので立ち寄った。
「立呑 わたらい」は賑わっていた。
9割方オッサン&アンチャンである。

大瓶のビールはここもサッポロ赤星。
本日は赤星三連発と来たもんだ。
20年前はあまり見かけなかったが
ここ10年かなり勢力を拡大している様子。
エビスやプレモルはシンドいけれど、
ドライじゃもの足りないという人々に
支持されているのかもしれない。

二人の話題はNYの思い出。
ここで浮かび上がった人物がいた。
2年前に富山県の氷見に
転居して行ったA子である。

昨秋、メドックマラソンを飲み走り、
楽しかったから今年も挑戦する旨のメールを
ついこの間もらったばかり。
彼女がママだったクラブ「U」に
N美も在籍していたのだ。

「A子に電話してみようか?」
「うん、して、して」
旦那と食事中だったらしいがA子はすぐに出た。
スマフォを手渡すと
たった2年居ただけなのに覚えていてくれて
よほど嬉しかったのだろう。
話すうちにN美が泣き出した。
二人が言葉を交わすのは実に27年ぶりのこと。

電話を切って
「何も泣くことはないだろう、N美」
「そうだけど、なんか涙が出て来ちゃってー」
そう言いながら、なおもさめざめと泣くのでした。

=おしまい=

「ヴェネツィア酒場」
 千葉県市川市本八幡2-15-17
 047-333-9999

「立呑 わたらい」
 千葉県市川市本八幡3-4-16
 047-379-8902