2023年1月26日木曜日

第3197話 日暮里は シャコとアワビの 舞踊り

日暮里の「又一順」で
仲間と食事会を催したのは昨年末。
最近、そのすぐそばにユニークな中華を見つけた。

上海の南、浙江省の料理を供する。
近々、誰かを誘って来ようと思ったのだが
待てずに独りで訪れたのは土曜日の昼下がり。
ガラス越しにのぞくと、けっこうな入りである。
狭い店につき、ムリかなと思いつつも入店。

いや、ビックラこいたネ。
スゴいんだ、空中を飛び交う中国語がっ!
とにかく店も客も中国一色。
なんてこったい、もうちょっと静かにしろい!

口には出さず、静かに着卓。
彼らは思ったことだろう。
借りて来た猫みたいなオッサンが入って来たなとー。
ドライの中瓶を通し、メニューを入念にチェック。

想像以上に変わったもの、
というか、本格的な料理が多い。
日本人向けの一般的なのも揃うが
せっかく異界に身を投じたのだ、
おとなしくエビチリなんざ食えるかい!
オッサン猫をなめるんじゃねェゾ。

食べたいモンだらけだけど
一人で立ち向かうには量が多過ぎる。
マナガツオ・ワタリガニ・スミイカ・マテ貝、
果てはウシガエルなんぞも並んでた。
こりゃ大変な店に来ちゃったな。

悩みに悩みながら決断を下したのは2皿。
シャコ5尾にアワビ(実際はトコブシ)3個だ。
殻付きのシャコはけっこうな大きさだが
中身はスカスカ感があり、食べではない。
ニンニク&ネギ醤油の味付けはよかった。
トコブシは柔らかくフックラ蒸し上げられ、
シャコと似た味付けながら美味しい。

中年カップルが去り、
奥から子連れのファミリーが2組出て来た。
連中が騒音の源だったのだ。
一人取り残され、嵐のあとの静けさ。

ビールをお替わりし、
手の空いた浙江省出身のマダムと談笑。
肝心な部分は日本語がちんぷんかんぷんだが
それもまた一驚。
会計は、シャコ2600円、トコブシ1200円、
ビール1000円の計4800円也。

おっと、店名を書き忘れるところだった。
池袋にある「温州坊」の支店で「瓯(おう)味」。
初めて見る区と瓦を合わせた”瓯”の文字は
瓶や鉢のことであります。

「瓯味 温州坊日暮里店」
 東京都荒川区東日暮里5-51-2
 03-6681-3832