日暮里の「又一順」で
仲間と食事会を催したのは昨年末。
最近、そのすぐそばにユニークな中華を見つけた。
上海の南、浙江省の料理を供する。
近々、誰かを誘って来ようと思ったのだが
待てずに独りで訪れたのは土曜日の昼下がり。
ガラス越しにのぞくと、けっこうな入りである。
狭い店につき、ムリかなと思いつつも入店。
いや、ビックラこいたネ。
スゴいんだ、空中を飛び交う中国語がっ!
とにかく店も客も中国一色。
なんてこったい、もうちょっと静かにしろい!
口には出さず、静かに着卓。
彼らは思ったことだろう。
借りて来た猫みたいなオッサンが入って来たなとー。
ドライの中瓶を通し、メニューを入念にチェック。
想像以上に変わったもの、
というか、本格的な料理が多い。
日本人向けの一般的なのも揃うが
せっかく異界に身を投じたのだ、
おとなしくエビチリなんざ食えるかい!
オッサン猫をなめるんじゃねェゾ。
食べたいモンだらけだけど
一人で立ち向かうには量が多過ぎる。
マナガツオ・ワタリガニ・スミイカ・マテ貝、
果てはウシガエルなんぞも並んでた。
こりゃ大変な店に来ちゃったな。
悩みに悩みながら決断を下したのは2皿。
シャコ5尾にアワビ(実際はトコブシ)3個だ。
殻付きのシャコはけっこうな大きさだが
中身はスカスカ感があり、食べではない。
ニンニク&ネギ醤油の味付けはよかった。
トコブシは柔らかくフックラ蒸し上げられ、
シャコと似た味付けながら美味しい。
中年カップルが去り、
奥から子連れのファミリーが2組出て来た。
連中が騒音の源だったのだ。
一人取り残され、嵐のあとの静けさ。
ビールをお替わりし、
手の空いた浙江省出身のマダムと談笑。
肝心な部分は日本語がちんぷんかんぷんだが
それもまた一驚。
会計は、シャコ2600円、トコブシ1200円、
ビール1000円の計4800円也。
おっと、店名を書き忘れるところだった。
池袋にある「温州坊」の支店で「瓯(おう)味」。
初めて見る区と瓦を合わせた”瓯”の文字は
瓶や鉢のことであります。
「瓯味 温州坊日暮里店」
東京都荒川区東日暮里5-51-2
03-6681-3832