2023年1月20日金曜日

第3193話 一人酒場で突つく鍋

この日は池袋。
青春の思い出が詰まりに詰まった街である。
行きつけの「三福」の引き戸をガラリと引くと
中にいたオジさんと鉢合わせ。
「あれっ、まだでしたか?」
「2時からです」
時刻は1時半で退散の巻。

「酒場 ふくろ」に回った。
このところ「ふくろ」といえば、
東口の美久仁小路になじんでしまい、
本店には無沙汰をしていた。

すでにきこしめしている、
オバちゃん二人の隣りに滑り込む。
カウンターの中は初めて見るオネエさん。
ドライの大瓶を通しておいて立ち上がり、
壁の品札をチェックする。
お通しはエリンギの炒め煮だった。

最近は温かい汁物に惹かれる。
かき鍋、たらちりと迷った末、
はまぐり鍋に白羽の矢。
前夜、自宅でかきの土手鍋を食べたし、
たらちりだとスープが飲めないからネ。

コンロに鍋が乗せられ、固形燃料に着火された。
はまぐりは4粒。
貝殻にかすり傷がないから国内産のようだ。
ただし、房総産のように光り輝いてはいなかった。

あとは大量の白菜に
サイコロキャラメル・サイズの絹ごし豆腐4個。
長ねぎ・エノキ・春菊は少量。

鍋が沸騰してはまぐりが口を開き始める。
放っておくと身が硬くなるため、
4個ともトンスイに避難させた。
エノキと春菊も同様にー。
白菜と豆腐はよく煮たほうが好き。

黒ホッピーに切り替えた。
外は1本、中は日本酒の1合瓶に入れてくる。
ちょうど2杯分に相当する量だ。

一人酒場で突つく鍋はいいもんだ。
はまぐりの出汁がよくでたつゆが美味。
冷めかけたはまぐりの身を
しゃぶしゃぶして頬張る。
熱燗といきたいところながら
黒ホッピーが意外に好相性。
うん、いいネ。

お勘定は2160円。
帰りに東武デパートの地下に寄り、
ヤリイカのにぎり鮨と
本まぐろの骨付き身アラを買い求め、
無事、ご帰還あそばしましたとサ。

「酒場 ふくろ」
 東京都豊島区西池袋1-14-2
 03-3986-2968