神保町シアターで目下開催中の
映画で味わう至高のミステリー対決
横溝正史と松本清張
序盤の4本を観てきた。
「悪魔の手毬唄」(市川崑 1977)横溝
「点と線」(小林恒夫 '58 )清張
「張込み」(野村芳太郎 '58)清張
「黒い画集 ある遭難」(杉江敏男 '61)清張
横溝(本格派)vs 清張(社会派)の
ガップリ四つと云いたいが
もともと15本中、5本 vs 10本 では
公平な割り振りとは云い難い。
好みの問題ではあるけれど
横溝の原作はあまりに荒唐無稽。
すべて名探偵・金田一耕助モノで
次から次と殺人事件が起こりまくり、
人が死に過ぎるんだ。
それもド派手な殺しの手口を
女の細腕一本でやり遂げる。
こりゃ、いかんせんムリだろう。
映画だからしょうがないの一言で
片付けられるものではない。
「点と線」に関しては昨年10月10日付け、
第3642話で長々と書いたので
今日はあえて踏み込まない。
清張のミステリー・デビュー作、
「張込み」は原作だと張込む刑事が
一人なのに映画では二人。
それ以外はかなり忠実ながら
肝心の舞台が S市とだけあって
ボカされるものの、
映画は S市を佐賀市と明らかにする。
小説にもこうある。
柚木は町を歩いた。
電車もない田舎の静かな小都市である。
堀がいくつも町を流れている。
そう、佐賀は水路だらけだ。
とてもいい町で行ってみたくなった。
ただ、犯人役の田村高廣がどうしても
殺人を犯した凶悪犯に見えない。
元恋人・高峰秀子の胸に今も生きる好青年。
そうとしか見えないんだ。
「黒い画集 ある遭難」は
山登りを愛する向きにはたまらない。
登山に興味がなくともサスペンスを
楽しめるが J.C.は苦手だ。
若い頃は平気だったけど
歳とともに高い所が怖くなってきた。
恥ずかしながら今では
完璧なアクロフォービアになりました。