北千住は飲み屋横丁の「幸楽」。
J.C.を唖然とさせた御仁は
テーブル席に移動していった。
ハヴ・ア・ナイス・ドリンク&デイ!
本来は夏に旬を迎えるコチ刺しを堪能し、
まぐろ山かけを追注した。
此処ではまだ食べたことがない。
ボール(焼酎ハイボール)もお願いした。
本まぐろのブツがたっぷり入っている。
まぐろは刺身はもちろん、
山かけも即席ヅケにすると好い。
自宅でも常にそうしている。
ベトナムのオネエに日本酒の銘柄を訊ねた。
「幸楽」ではビール、ボール、電気ブランが
マイ御三家、日本酒は滅多に飲まない。
以前、山形の雅山流を飲んだ記憶はあった。
彼女が同じ山形の大山もあると云う。
「エッ、大山があるの?」
「ありますヨ」
懐かしい酒なんだ、コイツは!
初めて飲んだのは1987年。
NYの「レストラン日本」において。
この街に赴任して間もなく訪れたのが
最初でそのときに出逢った。
スッキリしているのに奥行きがあり、
まだ若かった J.C.は
すっかり虜(とりこ)になってしまった。
以来、どれだけ飲んだことだろう。
IKKOじゃないけれど
「どんだけ~」てなもんや三度笠。
大山とキッコーマンを同割りにしてヅケ。
この山かけが不味いワケがない。
大山を3杯も飲んじまったヨ。
脇のボールはチェイサー代わりだ。
北千住の酒場にて至福のひととき。
ほうらチエミ姐さんも歌い出す。
♪ 好きでお酒を
飲んじゃいないわ
家にひとり帰る時が
こわい私よ
あのドアを開けてみたって
あなたはいない
暗い闇が私を
待ってるだけよ
また長い夜をどうして
すごしましょう
愛の香りも
消えたあの部屋 ♪
(作詞:山上路夫)
江利チエミの「酒場にて」は
1974年9月のリリース。
彼女自身、久々のヒットとなった。
一時、落選の憂き目をみた、
紅白歌合戦に復帰させようとNHK が
出演を依頼したがチエミは拒み続ける。
歌手なんていつでも思い通りになると
タカをくくったNHKに一泡吹かせた。
あたかもノーベル文学賞を拒否した、
ジャン=ポール・サルトルさながらで
J.C.はこういう人たちを
心から愛し、尊敬するのです。
「幸楽」
東京都足立区千住2-62
03-3882-6456