2025年6月2日月曜日

第3809話 松本清張の功績 (その1)

今回の神保町シアターの特集、
横溝&清張シリーズの残り6本を
すべてクリアしたのでリポートします。

残りと云っても自分でリストアップした、
観たい作品のみです。
とは云え全15本中10本だから
3打数2安打の6割6分6厘。
われながら立派なものであります。

「天城越え」(三村晴彦 1983)清張
「獄門島」(市川崑 '77)横溝
「影の車」(野村芳太郎 '70)清張
「八つ墓村」(野村芳太郎 '77)横溝
「共犯者」(田中重雄 '58)清張
「黒い画集 第二話 寒流」
 (鈴木英夫 '61)清張

こんなラインナップでした。
「天城越え」は当シアターには珍しく、
99席あるキャパがほぼ満席。
ヒロイン・田中裕子の魅力かな?
とも思ったが、どうやらこれは
石川さゆりの同名ヒット曲による、
知名度上昇の影響と思われた。

何もここまでやらなくても
観る者がドギマギするほど
激しい濡れ場をこなす裕子。
惜しげもないヌードは
まさに体当たりの演技といってよい。

横溝のご多分にもれず、
「獄門島」は奇妙奇天烈の極み。
殊に本作はあまりにも無理な筋運びだ。
美女や老人が殺人のため、
あんなに大掛かりな肉体労働を
こなせるわけもない。

「影の車」は激しくはないものの、
岩下志麻と加藤剛の愛欲シーンが
これでもか、これでもか。
あの半分でじゅうぶんだヨ。

東宝の横溝作品と異なり、
松竹が手掛けた「八つ墓村」は
主役の探偵・金田一耕助も
石坂浩二ではなく、何と渥美清。
監督も市川崑に代わって野村芳太郎。
当シリーズで横溝と清張、
両方を監督したのは野村ただ一人だ。

荒唐無稽ぶりは緩和されている。
ただ真犯人が美女であることに変わりはない。
渥美がいい味を出しており、
小川真由美もさすがといえばさすが。
ショーケンこと萩原健一は
当たり役を得た感があり、
ファンにはたまらない映画となった。

=つづく=