2014年12月9日火曜日

第986話 秋の日の一人歩き

結局は薬局、前話のつづきみたいだが
こち亀タウンで昼のラーメンを食べたあと、
まっすぐ都心に戻ったのではなかった。

小春日和りを心の支えに
進路をとったのはヒッチコックのごとく北北西に非じ。
あえていえば真東であった。

荒川と江戸川のあいだに中川なる川が流れている。
その中川を中川橋で渡った。
するとほどなく現れたのがコレだ。
新しくとも老舗ベーカリーの匂いあり
以前にもたびたび述べているが
J.C.は古いパン屋に弱い。
オサレなブーランジェリーには興味がない。

でもって入っただヨ。
スペースのある店ながら品数はきわめて少ない。
それでも惹かれたのがコレだ。
三色パンと称する
いや、マイッたなァ、懐かしいなァ。
実はこのパンを見るのは30年ぶり。
小学生の頃には確か、”三っ島”と呼ばれていたハズだ。
ちゅうちょなく買い求め、一人歩きはなおも東へ東へ―。
いえ、正確には東北東かな。

JR常磐線・金町駅のロータリーを横切り、
ガードをくぐり抜けて北上し、かなり歩いて水元公園にやって来た。
何年ぶりだろうか、たぶん35年ぶりだが水周りの風景はよく覚えている。
この池は小合溜というのだ。

そこからテクテクさらに歩いた。
ふと気がつけば、目的地をはずれて埼玉県・三郷市に入県。
いや、この日めざしたのは埼玉ではなく、千葉県・松戸なんだけど―。

かなり遠回りの末、やっとこさたどり着いた松戸であった。
松戸神社や旧平潟遊郭跡を散策したものの、まだ16 時前だ。
かつて訪れた酒場の開店までまがある。

ええい、ままよ! 再び徒歩で都内の金町に引き返す。
引き返したが、さすがの健脚もくたびれはててヨタヨタのヨタ。
息も絶えだえにやってきた「末広飯店」だった。
お願いしたのはまたもやラーメン(550円)である。
店は上湯(シャンタン)をウリにしており、この値付けはお値打ち。
具はチャーシュー・シナチク・うずら玉子
さすがにスープ上質して麺もシコシコと、極上のラーメンを味わえた。
金町まで遠出する価値、大いにあり。
結局、昼も夜もラーメンの一日であった。

おっと、帰宅後に切り開いた三色パンの中身をご披露せねば。
ジャム・クリーム・あんこの3点
煎茶を淹れて食したものの、
美味しさはまずまず止まりでありました。

「星野ベーカリー」
 東京都葛飾区新宿2-11-1
 03-3607-2930