2015年9月21日月曜日

第1190話 あの鮎をもう一度 (その2)

童謡「夏の思い出」で脚光を浴びた尾瀬には水芭蕉の花が咲く。
奥のほそ道に旅立つ前の松尾芭蕉は深川に庵を構えていた。
その深川は清澄庭園沿いに、和食店「天竜」はある。

夏がくれば、この店のことを思い出すのは
ひとえに若鮎の塩焼きが恋しくなるからだ。
これはNYKリユニオンのメンバーすべてに共通する思い。
ゆえに今夏もあの鮎をもう一度と相成ったわけである。

開宴時刻は常に19時。
みな現役ながらそれなりの役職に付いており、
退社時間は勝手気まま、したがって時間を持て余すことになる。
よって次回からは18時に繰り上げようと思っている。

その夜も18時40分に到着すると、
すでに2名の先着者がカウンターで飲み始めていた。
こちらも泡少な目の生ビールをほとんど一気飲みで追いかける。
珍しくも19時には全員揃い、めでたく乾杯となった。

さっそく前菜の四点盛りが各自の前に並んだ。
内容は、枝豆・うるか・稚鮎唐揚げ・川海苔アヴォカト和え。
こぞって夏の”涼”を舌先に運んでくれた。
ビール好きのJ.C.はまだグラスを重ねるつもり。
さしたる日本酒党ならずとも
冷酒に切り替えるメンバーのがはるかに多い。
さもありなん。
枝豆にはビールでも、うるかには清酒だよねェ。

続いて8種の刺身の盛合せ。
内容は、鮎・真鯛・真子がれい・甘海老・いたや貝・
するめいか・かつお・まぐろ中とろだった。
これを本わさびで味わい、まことにけっこう。

このあとに供されたのが本日の主役、鮎の塩焼きだ。
店名の「天竜」が示唆するごとく、
天竜川をさかのぼる道中に
不覚にも釣り上げられてしまった天然鮎である。
けして鮎マニアではないJ.C.が舌鼓をポンポンの巻。

稚鮎の天ぷら、酢の物をはさみ、締めは土鍋でで炊いた鮎めし。
これがまた旨いぞなもし。
晩酌どきは努めて炭水化物を避けているものの、当夜はベツ。
しっかりとお替わりをしてしまった。
もっともドンブリではなく、お茶碗ですけどネ。

次回は3ヶ月後に神楽坂の「新富寿司」に集結することを約し、
会はお開きとなった。
お開きとはなったが、飲み足りない呑ん兵衛が約3名。
近所の焼き鳥屋に河岸を移してクダを巻いてしまった。
深川だけに、夜は深いものがありましたとサ。

「天竜」
 東京都江東区清澄3-3-28
 03-3630-8850