この日も朝から晩までずっと雨。
雨の日は都心へ出て地下に潜るが
ザーザー降りではないため、多少は地上に出よう。
歌舞伎座から銀座の幹線道路、
晴海通りを余り離れず、4、5丁目を日比谷方面に進む。
みゆき通りの先にJR&首都高のガードが見えてきた。
その手前、泰明小学校前の路地を入れば、
「泰明庵」の袖看板が迎えてくれるハズである。
銀座は意外にそば屋が少ないが
「泰明庵」は7丁目の「よし田」と肩を並べる老舗だ。
13時半になるのにほとんど満席。
四人掛けを一人で占有するからさもありなん。
卓上に品書きはなくビッシリ貼られた短冊を見上げる。
♪ 見上げてごらん 壁の札を ♪
九チャンの歌声を遠くに聴きながら
吟味する、このひとときは心が弾む。
相変わらずユニークな品々が並んでいる。
黄にらカレー、わらびカレーはライスでなく南蛮そば。
せりそばを注文すれば、
鶏肉か豚肉を入れるかどうか訊いてくる。
初訪問は22年前、世紀末だった。
2階での晩酌がすっかり気に入ってしまい、足繁く通った。
そば屋ではなく、そば居酒屋として利用した。
当日はまだ禁酒令解除前、おとなしく食事するしかない。
となるとイチ推しはミニ天丼セット(1000円)である。
ミニ天丼―鮎・めごち・きす・穴子・かき揚げ
そば―もり・かけ・ざる・たぬき
それぞれ1品づつ択ぶが
鮎天丼ってのは珍しいねェ、ここで初めて見た。
というより、ヨソでも見たことがない。
好みは穴子orめごちなれど、鮎っきゃないでしょ。
琵琶湖の小鮎が3尾ほど乗ってるのかな?
想像していたら3枚おろしが2枚来た。
大人に成り切らない若鮎の脇をしし唐&かぼちゃが補う。
うむ、ウム、やっぱり美味いや。
「泰明庵」はそば屋なのにそば自体はフツー。
だけど天丼は好きだ。
ごま油香る天ぷらに年期の入った丼つゆが絡む。
固めに炊かれたごはんもまたけっこう。
ようやく解禁の日の目を見たことだし、
次回は2階へ上がり、酒盃をゆるり傾けるといたそう。
「泰明庵」
東京都中央区銀座6-3-14
03-3571-084