2021年9月3日金曜日

第2734話 ビストロが 心をこめた へびの道 (その2)

ところは谷根千、へびの道。

谷中ビストロ「サンセリテ」のラタトゥイユが整った。

パプリカ・ズッキーニ・オニオン・ナスがふんだんに使われ、

添えられた温泉玉子の塩梅もよかった。

 

今日は野菜をガッツリ取ろう。

そう思って通した一皿だったが

ヴェジタリアンじゃないので食べてるうちに飽きてくる。

量もけっこうあったしネ。

冷たいトマトスープにすりゃよかった、悔やんでも遅い。

 

メインのシュークルート、そのボリュームにたじろいだ。

厚切りのスモークが一切れ。

しっかり脂身が付き、じっくり煮込まれた塊が一つ。

茹でたメイクーン丸一個に、酸っぱいキャベツもたっぷり。

 

脂っ気と酸味がかなり強いが相性の良さを感じる。

牛や豚のしゃぶしゃぶをポン酢で食べるのと同じ理屈だ。

道半ばにしてノドが渇き、お冷やで癒すがもの足りない。

「すみません、ノンアルお願いします」

 

当店はアサヒのドライゼロ。

4週前、金町のそば屋はサントリーのオールフリーだった。

静かに注いでグイッ。

日頃から馴染んでるせいか、アサヒのほうがいい。

アルコレスの味気なさはつきまとうものの、

お冷やよりはよかった。

 

食べ応えのあるディッシュに挑んだ末、

脂身一片とキャベツ少々が皿に残る。

それでもじゃが芋とパンは食べ切った。

このボリュームならフランス人、

いや、米国人をも満足させるだろう。

 

数種類あるデセールは白桃のソルべを―。

他は何だったっけなァ?

カスタード・プディングがあったけど、

あとは覚えちゃいない。

デセールはほとんど興味がないからネ。

ソルベにしたって2年ぶりくらいだ。

 

食後の飲みものはアイスティー。

レモンやガムシロを入れず、そのまんま。

ソルベの甘みを洗い流すにはこのほうがよい。

 

会計は2530円也。

内税にしてサービス料なしの明朗会計である。

支払いながらシェフに訊ねた。

「豚のスモークやソルベは自家製ですか?」

「いえ、本当はそうしたいんですが

 狭くて機械を入れられないものですから・・・」

 

そりゃ、そうだよネ、元は津軽料理屋だもの。

ビヤ&ワインが飲めるようになったらまた来よう。

そう思わせる店でした。

 

「サンセリテ」

 東京都台東区谷中2-5-10

 03-5834-7355