青学をあとにして宮益坂を下り、
渋谷東口のバスタに来た。
大井町行きがヘアサロンのある、
かむろ坂下に停まってくれるのだ。
例によって隣りのスーパーに立ち寄ると
見たことのない真っ赤なロング缶あり。
黒ラベルのエクストラ・ドライだった。
髪を切ってもらいながら試飲に及ぶ。
いや、ホントにドライ、スーパードライ以上だネ。
今宵は目黒駅前の権之助坂で飲むつもり。
飲食店が軒を連ねているから、
気に染まるところが必ず見つかるハズだ。
「ぴんちょ」の前を通りすがる。
このスペイン・バルは4年前の今頃、
のみとも・Fチャンと一度利用した。
店名の「ぴんちょ」は
タパスの串刺し、ピンチョスから。
M子のおもかげを抱き寄せつつ、
スペインつながりで入店。
開店直後の17時過ぎとあって先客はナシ。
オープンキッチン・カウンターに落ち着いた、
ビールは生も瓶も苦手な銘柄のみ。
回避してスペインのカヴァ、マレステを。
当店はスペインの美食の都、ビスケー湾を臨む、
サン・セバスティアンのバルを模している。
1971年春。
J.C.は都のちょい手前、イルンの町に立ち寄った。
ただ、当時はサン・セバの知識が無く訪れず。
いや、あったとしても
8dollars a day の旅人に美食は高根の花。
いにしえの元カノ・M子に遭遇する二日前のことだ。
タパスは最初にウニとうふ、豆腐は使われていない。
冷たいウニのムースをコンソメ・ジュレが覆い、
その上に生ウニがチョコン、実に美味しい。
白に切り替え、ピエモンテのガヴィを。
コルテーゼは大好きなセパージュで
シャルドネ以上かもしれない。
ボケロネス(イワシの酢漬け)を追加した。
本場のカタクチイワシと異なる真イワシが残念だが
鮮度、〆具合ともに良し。
イワシをかたどった青いガラス皿にも惹かれた。
帰りしな、女性スタッフに訊ねた。
「ボケロネスのお皿は日本製?」
「ハイ、そうなんです、かっぱ橋で買いました。
可愛いですよネ」
「うん、可愛いな、キミほどじゃないけど」
「エッ、マァ、そんな・・・」
帰宅後、ニュースを観ようとTVをつけた。
すると、いきなり平野レミさんが現れた。
TV朝日の「家事ヤロウ」という番組で
ほとんど彼女のワンマン・ショー。
さっきの今に驚きはしたけれど。
これは単なる偶然と思える自分がいました。
前話で1971年7月とあったのは
1972年7月の誤りでした。
さもないときっかり50年前になりませんものネ。
失礼しました。
「ぴんちょ」
東京都目黒区目黒1-6-13
050-5593-5412