2022年10月5日水曜日

第3117話 さまよえる世田谷・渋谷 (その2)

世田谷区最西端の喜多見にいる。
此処から成城学園前まで歩くつもりだ。
上野田橋で野川を渡った。
川の名の由来は存ぜぬが川の真ん中は野原だらけ。
ゆえに野川か?

橋の東詰から心臓破りの急な坂。
隣接する二つの町の高低差は半端じゃないネ。
成城をしばし散策して疲労感を覚えた。
あの坂のせいだな。

二子玉川行きのバスに乗り、
揺られること20分、到着すると
ややっ! しばらく来ない間に景色が様変わり。
駅を包み込むようにデカいビルが何棟か建ち、
則物感に満ち満ちている。
長居はよそう、身体に悪い。

駅舎のそばに100円ショップあり。
ふと思いついて入店。
先日、酒場の品書きの字が細かくて
値段が判らなかったことを思い出した。
ハズキルーペの代わりに普通のルーペ、
いわゆる拡大鏡を買う気になった。

広い店内で品出しする女性スタッフに訊ねると
「ご案内します」
そして「こちらでよろしかったでしょうか?」
「大きいな、易者の使う天眼鏡みたいだネ。
 ついでに筮竹(ぜいちく)なんかあるかな?」
「ハァッ?」
「ジャラジャラやって占いに使う竹の束だけど」
「いえ、それは・・・」

固まった彼女、TVのCMでくまどり姉妹、
じゃなかった、こまどり姉妹に乞われて
返事に窮した具志堅用高の如し。
「私たちもリニューアルして貰おうかしら?」
「いや、それは・・・」

駅舎そばで買った易者の天眼鏡。
会計は110円也。
ポケットをさぐり、百円玉と十円玉、
2個の玉で支払う。
おっと、ここは二子玉であった。

都心に近づくバスの本数が少ない。
田園都市線で渋谷に向かった。
東口の地上に出ると目の前にバスターミナル。
日赤医療センター行きが停まっている。

おおっ、國學院大學経由じゃないか!
久しく来ていない、そのエリア。
近々歩くつもりだったので渡りに舟と乗り込んだ。

=つづく=