2023年4月5日水曜日

第3246話 桜の谷中霊園、その後で (その1)

散りゆく桜に別れを告げたい気分。
「来年またネ」とー。
夕焼けだんだんを上り、御殿坂を下り、
JR日暮里駅を眼下に見つつ、
天台宗・天王寺の脇から谷中霊園に足を踏み入れた。

桜の隧道として世に名高い、
さくら通りの並木は逆七分咲き。
葉桜も目立ち、もはや余命いくばくもない。

天王寺の五重塔の跡地に来た・
昭和32年7月。 
この塔は心柱を残して焼け落ちた。
裁縫所に勤める48歳の男と
21歳の女の恋情の果てに。

台東区に金が無いのかケチなのか
緑のたぬきが予算を割いてくれないのか
設計図が残っているにも関わらず、
何故か再建がなされていない。

霊園を抜けたらそこは三崎坂上。
今日のランチは
ブルターニュ名物のガレットと決めて来た。
そば粉のクレープである。

以前はガラガラだったのに
最近はそこそこ人気の出て来た、
「ル・コワン」に到着すると、
何てこったい10人ほどが蛇状態・
それも若い娘ばかりなりけり。

最近、多いんだよな、
街に花咲く乙女たちの神をも恐れぬ食い歩き。
街も店も自分たちのためだけにあると
信じてやまない傍若無人ぶり。
おかげでオッサンたちは行き場を失うヨ。

こんなの並んでいられっかい!
こちとらそこまでヒマじゃねえんだぜ。
いえ、実際はヒマなんですけど。
キビスを返して下りかかった坂を逆戻り。

あっさりとした昭和のタンメン
心の和む立て看板が目にもやさしい、
典型的な町中華、
珎々亭(チェンチェンテイ)」。
何度かお世話になっているが
当欄で紹介したことはないと思う。
本日もおジャマしまッス。

=つづく=