2023年4月6日木曜日

第3247 話 桜の谷中霊園、その後で (その2)

三崎(さんさき)坂上の「珎々亭」に入店。
いつものように昭和のタンメンを注文した。
ここのビールは苦手なキリン・クラシックラガー。
WBクラシックは存分に楽しませてもらったが
クラシックラガーはいただけない。
一球見送った。

タンメンが着卓したけれど、
あれェ、スープがこんなに少なかったっけ?
なみなみに程遠く、辛うじてヒタヒタてな感じ。
絶対量が足りないから
すっかり乳化しちゃってる。
味付けは確かにアッサリながら
スープはもっとスッキリが望ましい。

具材は、もやし・キャベツ・玉ねぎ・ニラ・
小松菜・にんじん・キクラゲ、
そしてベーコンみたいな豚バラ肉1枚。
計8種類で言わば、八宝菜麺だネ、これはー。
750円の値打ちはじゅうぶんにあった。

支払い時、女将さんが声を掛けてきた。
「今日は暖かくていいお日和ですネ」
「今、霊園の桜並木を歩いてきました」
「まだ残ってますか?」
「逆七分くらいですネ」
「そろそろ今年も終わりかなァ」
「満開とはまた違って散る桜もいいもんです」
「確かに」

その足で霊園に舞い戻る。
さっき来た桜通りを逆に歩く。
いえ、もう一度桜を見たいんじゃなくて
目指すは日暮里駅。
ガス欠解消を目論んでいるのだ。

乗降客の少ない南改札の前を抜け、
急な石段を降りた。
ロータりーに面するマイ・ブレイクルームで
ビール&点心セットという手もあったが
現状、何も食べたくない。

駅に隣接するビルの3階、
牛めし屋の引き戸を引いた。
牛めしに見向きもせず、中瓶をポチッ。
トクトクトクのグイッ! 生き返った。

食わずに飲むだけ。
こんな芸当は牛めしの「M」だからこそ。
牛丼の「Y」でも可能だろうが、やりにくい。
しょっちゅうガス欠を起こすポンコツ車にとって
「M」は地獄で仏的存在なのです。

珎々亭(チェンチェンテイ)」
 東京都台東区谷中5-1-1
 03-3821-3970