2023年5月29日月曜日

第3284話 カニを蒸したんだガニ (その2)

前々日にしゃぶりつくした背子蟹。
昨晩はその名残りのスープを存分に楽しんだ。
なのにこの日は日暮里駅前のスーパー、
「マルマン」で栗蟹と出会ってしまう。
毛蟹の仲間の栗蟹は庶民に優しい廉価蟹。

おいオマエ、カニは食ったばかりやんけ!
天の声にも「そんなの関係ねェ!」とバチ当たり。
すみやかに、かつにこやかに
クリちゃんはイン・マイ・バスケット。
その夕、また蟹を蒸したんだガニ。

毛蟹より二回りほど小柄なクリ坊。
スティーミング・タイムは10分とした。
しかしながらコイツは当日食べずに
一晩寝かせることにした。
スリーピング・タイムは24時間だ。

そして翌日。
いいネ、いいですネ、よく冷えていてー。
灰色の地味な甲殻は真っ赤に染まっている。
太目の脚を3本ほどやっつけてから
食指を蟹味噌に動かす。

毛蟹には届かぬものの、
じゅうぶんに楽しめる。
これが1尾400円だもの。
まったくもってカニに申し訳ない。
カンニンどっせ。

甘味や生姜風味を好まぬJ.C.は蟹酢を避ける。
生酢に生醤油をホンの数滴落とすのが好き。
子どもの頃から母親がそうしていたので
舌に沁みついている。

酢は京都三条大橋、村山造酢の千鳥。
醤油はキッコーマンのしぼりたて生。
醤油はさほど重要じゃないが
酢は必酢、もとい、必須。
酢のおかげで蟹の甘みが格段に増してくる。

さてさて、蟹の第二の楽しみはスープ。
食べ散らかした甲羅と脚を煮立てる。
溶き玉子を放ってかき玉汁とするのだ。
crab & egg は極めて相性がよろしい、
中華料理における、
芙蓉蟹蛋(カニ玉)の例を見るまでもない。

またカニ玉は天津麺&天津飯の主役。
よってJ.C.はこのスープを天津湯と名付けた。
味付けは塩だけでOK。
刻みねぎを散らしても良い。

3日に渡って蟹を味わいつくしたが
これは渡り蟹ではなく背子蟹と栗蟹。
おっと、産地を書き忘れるところだった、
背子は鳥取、栗は青森でありました。