品川区・大崎で平和な昼めしどきを迎えている。
「平和軒」のちぢれ麺は腹を立てているようには
見えなくともプリップリのプリ。
いつまで経ってもノビる気配すらない、
と言うより、ハナからノビる心構えが
出来ていないんだヨ、この麺はサ。
大学生二人組が入店して来た。
そう、そう、書き忘れたが当店は
四人掛け2卓に小上りというか
昭和の茶の間に長テーブルが1卓。
勝手知ったるものとみえ、
二人は上がり込んでいった。
チャーハンも素朴ないい味を出してるねェ。
具材はチャーシュー主体に
玉ねぎとナルトがホンのちょびっと。
上に紅しょうが一つまみ。
たっぷりのチャーシューが昭和らしくないものの
今や豊かな令和の時代、株価も3万円を超えた。
「久しぶりに懐かしい昭和のラーメンをいただき、
ごちそうさまでした、美味しかったです」
「ありがとうございます」
深々とお辞儀をされ、
ボーッと突っ立ってたらチコちゃんに叱られる。
当方も深く頭(こうべ)を垂れました。
来た道筋を戻るのは面白くも何ともない。
直進すると、小さいながらも急な石段、
慎重に降りたら目の前に立派な建物がー。
立正大学である。
そうか、さっきの学生も坊さんのタマゴだったかー。
立正大学は日蓮宗の僧侶を養成する教育機関。
仏閣とは似ても似つかぬモダンな建築に虚を突かれた。
南へ上って行く坂は峰原坂。
峰原の地名は古く、江戸開府の以前から
一帯はこう呼ばれていたという。
冷たい麦茶は美味しかったが
そろそろガス欠の症状が現れてきた。
まだ13時過ぎながら戸越銀座なら何とかなろう。
百反通りから国道1号線を経て到着。
東急池上線・戸越銀座駅方面に銀座を往くと
ほどなくあった、ありました。
近頃ちょくちょくお世話になっている、
牛めし屋でドライの中瓶をポチッ。
デショップ台の女性に手渡すと
彼女、スポンと抜栓し、グラスを添えて
「ごゆっくりお召し上がりください!」
「あっ、ありがとう」
思わず発した本日三度目の”あっ”であった。
親切にして丁寧な受け答えに意表を衝かれたのだ。
これもみな立正大学のお導きと思われた。
何でそうなるの? いぶかしがられますか?
だって昔から言うでしょう、
”仏の顔も三度”ってー・
「平和軒」
東京都品川区大崎3-1-16
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