2023年9月8日金曜日

第3358話 希少なる部位 ハラミとツナギ

「サバイディー」をあとにして
阿佐ヶ谷駅前ロータリー。
JRで新宿に出るか、都営バスで渋谷に廻るかー、
渋谷にしよう。
バスを乗り継ぎ、目黒の大鳥神社前で下車。

心当たりの昼飲み酒場を目指し、権之助坂を上がる。
下りはラクだが上りはキツいぜ、この坂はー。
しかも到着したらシャッターが降りてやんの。

三田と大門で乗り換え、やってきたのは門前仲町。
止まり木に止まったのは初めての「高しな」。
炭火焼き鳥の店である。
都内各地に10軒ほどあるが、いずれも未踏だ。
以前、この門仲店の立て看板に
希少部位のハラミとツナギを見止め、気になっていた。

ドライの中ジョッキをプファ~ッと飲って 
ハラミを塩、ツナギをタレで1本づつ。
横隔膜のハラミは背肝と並んで
J.C.が最も好む部位。
肝臓と心臓を結ぶツナギも肝心この上ない。

目黒からずっとガマンしてきたものだから
中ジョッキはまたたく間に3杯を数えている。
キャベツの上に紅しょうがともみ海苔が散る、
くだらない突き出しはひと箸つけて箸を置く。

そうだ新たなるのみとも・白鶴は
江東区の住人だった。
電話を入れると、おっとり刀で現れた。

訊けば本日は彼女の定期健診日で
錦糸町から参上仕ったと言う。
行きつけの「vivo 錦糸町店」で出逢ったのは
去年の11月だった。

内臓類をあまり得意としない彼女には
オーソドックスな部位ばかり、
5点盛りを通してやった。
こういう人に希少部位は
猫に小判、犬に大判なのである。

ハツを塩、レバーをタレで追加する。
ハハ、ツナギの両サイドだネ。
あとは何も頼まず、
酒の肴はもっぱらショウヘイ・オオタニ。
野球に興味の無かった彼女も
朝のBS1だけは観るようになったという。

しかしあの男も罪なオトコよのう。
日本の野球にまったく興味がなくなっちまった。
ん? セリーグの首位はどこだって?
ん? 阪神だってか?

ああいうのは大阪人に見せときゃいいの。
東京人は海の向こうを見据えてるの。
小姑には悪い気もするけどな。

「高しな 門仲店」
 東京都江東区門前仲町2-6-1
 03-6458-8221