ペンをもつ手が
震えています 震えています
このたび横浜関内に
小さなお店を もちました
昔のよしみに おすがりします
力になって いただきたいの ♪
(作詞:星野哲郎)
黒沢明とロス・プリモスの
「小さなお店をもちました」は
1978年秋のリリース。
前年の「夜の横浜泣いてる私」、
翌年の「ぬれて横浜」と合わせ、
横浜三部作とJ.C.は勝手に呼んでいる。
この曲を披露したのにはワケがある。
実はこのたび、本当に久しぶりに
訪れた店があった。
昔は毎月のように顔を出していたのにー。
♪ ご無沙汰しました 七年ぶりね
箸をもつ手が
震えています 震えています
このたび浅草管内の
小さなお店に いきました
昔の料理が 残っています
力をこめて いただきたいの ♪
(作詞:J.C.オカザワ)
最後におジャマしてから
7年の月日が流れていた。
観音裏の「ニュー王将」である。
ストックホルム在住の旧友、
S水クンが急遽、帰国して来て
ひと月近くも浅草に滞在するという。
ついては安くて旨い店に
連れてってくれと言うんで
同じくクラスメートのN田クンを誘い、訪れた。
ドアを引くと
ママのタエちゃんの笑顔が待っていてくれた。
旧交を温めるが如くに手を握る。
マスターのヤッちゃんともハンド・シェイキング。
二人は元気で変わらぬが
7年の歳が変えたのは彼のヒゲ。
真っ白である。
特等席に収まって
黒ラベルのジョッキをガツンと合わせた。
=つづく=