間口の狭い、細い階段を地下に降りてゆく。
すると、何でこんなところにこんなに広い空間がっ!
これには少なからず驚かされた。
シャンデリアにステンドグラスがゴージャス。
「古城」というと昭和歌謡のファンなら
三橋美智也のその名も「古城」を思い浮かべるハズ。
♪ 松風騒ぐ 丘の上
古城よ独り 何偲ぶ
栄華の夢を 胸に追い
あゝ 仰げば佗し 天守閣 ♪
(作詞:高橋掬太郎)
ところが、そうじゃないんです。
当店のイメージはサザンの「HOTEL PACIFIC」。
♪ 森に眠る 古城のように
夢ははるか 蜃気楼
さらば青春の ステージよ
胸がJin-Jinと疼く
だのに太陽は もう帰らない To me
何故 砂漠のように
心が渇くでしょうか
エボシ岩を 見つめながら
夜霧にむせぶシャトー ♪
(作詞:桑田佳祐)
そんな雰囲気の中、ボックスに腰を沈めて
モーニングのBセットをお願いした。
内容は6枚切りバタートースト1枚、
ハードボイルド・エッグ、
トマト・きゅうり・キャベツのサラダ、
ホットコーヒー。
ハムエッグやサンドイッチのセットもあったが
昭和のモーニングにふさわしいのはゆで玉子だ。
運んでくれたウエイトレスに
「お店はいつ頃からあるの?」
「1963年みたいですが
翌年の東京オリンピックの説もあって
誰も正確には判らないみたいです」
「ふ~ん、そうなんだ」
彼女カウンターを振り返って
「あの眼鏡の男性のお父さんが始めたんです」
「それじゃ、彼は二代目?」
「そうです、そうです」
「でもって、アナタが奥さん?」
「ちがいます、ちがいます。
単なるアルバイトです」
「そうなの? 可愛いネ」
「あっ、ありがとうございます」
ずいぶん和めたモーニングでした。
やっぱ、サザンのサテンのコーヒーは旨いや。
「古城」
東京都台東区東上野3-39-10
03-3832-5675