日暮里・舎人ライナーに西新井大師西なる駅がある。
ずいぶんダッチャいネーミングの駅である。
酒は一切出さないけれど、
とても好い大衆食堂があると聞きつけ、
心が動いて身体を動かした。
白内障で右目の手術を受けた丸1週間後、
左目の術、その当日に行ってみた。
何しろ前日から禁酒令が発令されており、
渡りに舟とはこのことだ。
日暮里始発のライナーに乗って到着。
駅から歩いて2分ほど、
「みたけ食堂」は谷在家(やざいけ)2丁目にあった。
昭和の社員食堂みたいな店だ。
勝手が判らず、卓に着くと接客のオジさんが
「あそこにトレイがあるから
アレに料理を乗っけてネ」
「ハイ、わかりました」
てなもんや三度笠。
ハンバーグ、野菜炒め、生たら子、
味噌汁、ライスを乗せてオバちゃんに
「勘定はどこでするのかな?」
「食べてから、食べてから・・・」
オジさんがハンバーグをレンチンしてくれた。
フロアで動いているのは彼一人、会計も担当する。
ハンバーグは小さめが2個付け。
チンのせいでキャベツしんなりだけど、これも好し。
野菜炒めはニラ入りがうれしい。
生たらこは小さいのが2切れだが100円だからネ。
これもありがたい。
たらこなんてドッサリ食うもんじゃないし。
味噌汁は豆腐とわかめと油揚げ。
ライスは(並)でお願いしたが他店の大盛りに近い。
あれえ! 下げ物コーナーに妙なものを発見。
スーパードライの空き瓶である。
ちょうど千円をオジさんに支払いながら訊ねた。
「ビールもあるにはあるんですネ?」
「うん、ある、ある、日本酒・焼酎はないけどネ」
「それじゃごはん食べないで
ビールとつまみってのもあり?」
「ハイ、OK、OK!」
「じゃ、近いうちビール飲みに来ます」
「うん、待ってる、待ってる」
言葉を重ねるのがクセなんだネ。
好きだな、こういうオジさん。
4日後、舞い戻って大瓶のつまみは
さば味噌煮、イカフライ、生たらこ。
味噌煮の旨さに舌を巻いた。
シアワセなひとときを過ごし、明るい陽射しのもと、
西新井大師まで歩いてゆきましたとサ。
「みたけ食堂」
東京都足立区谷在家2-5-2
03-3890-4421