2023年12月21日木曜日

第3432話 一番人気に肩透かし

日本そば屋なのに客が日本そばを食べずに
中華そばとカレーライスばかり注文する店がある。
噂は聞いていたが、まだ行ったことがなかった。
つい先日もかつての名マラソンランナー、
瀬古利彦サンが週刊現代のコラム、
「会う食べる飲む また楽しからずや」で紹介していた。

てなこって都営大江戸線・国立競技場下車。
鳩森神社前の坂を下り「ほそ島や」に到着。
此処は将棋会館に近い。
よって、かの藤井八冠もお世話になっているという。

これまた週刊現代の特集記事なれど、
彼が対局中に当店から出前を取ると
本年8月現在の戦績が26勝2敗。
とてつもない好結果をもたらしている。
ほんまかいな? 驚いた。

11時半に入店したら4人掛けが1卓空いていた。
独りで占有するのは悪い気もしたが
女将さんが「どうぞ」と言うのでお言葉に甘える。
誰も飲んでいないし、
外に順番待ちの列ができ始めたのでビールは控えた。
っていうか、存在の有無すら訊かなかった。
食後にどこぞで飲めば済むことだ。

誰しもお願いする中華そば&カレーを発注。
ほどなく中年のオバちゃんと相席になった。
4人掛けに2人の相席だとフツーは
はす向かいに座るんだがこの人は
恋人でもないのに正面に腰を下ろしやんの。
コロ助来襲以降、こんな経験は記憶にない。

どんぶりと皿が同時に運ばれた。
さっそく中華そばから食べ始める。
一口すすったスープの味は好いものの、
かなりしょっぱく、油っこい。
ほどほどにしないと、あとでノドが渇く。

リフトアップした麺は
「ほそ島や」だけに細打ちのややちぢれ。
ほどよいコシでツルツルのツル。
肩ロースのチャーシューは大きめの厚め1枚。
歯ざわりのよいシナチクに、ナルトがなぜか2枚。
ねぎは青いところがいっぱい。
卓上の白胡椒を振って食べ進む。

福神漬けを添えたカレーは豚肉と玉ねぎのみ。
ごく当たり前の味わいながら
ライスの不味さがやるせない。
一番の売れ筋に肩透かしを食らった気分だ。
そして瀬古さんの言うほど
一番人気一色というのでなく意外にかつ丼が出る。

1300円を支払い、青山方面に歩く。
途中、通りすがった「TO THE HERBS」。
これ幸いとカウンターに滑り込む。
一番搾りの中ジョッキを2杯飲んだ。
会計はまたもや1300円也、単なる偶然だネ。
絵画館前のイチョウ並木に向かいました。

「ほそ島や」
 東京都渋谷区千駄ヶ谷2-29-8
 03-3404-0921

「TO THE HERBS 外苑店」
 東京都渋谷区神宮前2-6-1
 03-3404-6699