太地喜和子という女優を覚えておらりょうか?
満50歳を前に不慮の自動車事故で
静岡県・伊東市の海中に没したのは1992年のこと。
生きてりゃ80歳かー。
彼女の主演映画を続けて2本観た。
ところは神田の神保町シアター。
1本目は「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」。
寅さん映画の第17作で舞台は兵庫県・龍野。
宇野重吉が日本画壇の大家・池ノ内青観。
太地喜和子は龍野芸者のぼたん。
注目点はソ連に亡命(事実上失敗)した岡田嘉子。
青観がかつて想いを寄せた志乃役を演じている。
喜和子の小気味よい演技が際立ち、
シリーズ中でも出来の良い作品ながら
監督の山田洋次に一つ文句を言いたい。
志乃家のお手伝いさん役に榊原るみが出ていて
彼女は第7作「男はつらいよ 奮闘篇」のマドンナ。
シリーズ中、最高傑作にしてマイベストなのに
なぜか榊原がノンクレジットと来たもんだ。
何があったか知らんけど、こんな仕打ちはないだろ。
翌々日は同シアターで「男の泣きどころ」。
フランキー堺&藤岡琢也の両優が並び立ち、さすが。
喜和子はストリッパーのベベ・モンロー役。
惜しみなく裸体をさらしまくる。
コンプリートリー・ヌードと言うか、
スターク・ネイクドと呼ぶか、裸一貫の熱演であった。
笠智衆演ずるポルノ映画の巨匠には意表をつかれた。
御前様がいきなりポルノの監督だもんねェ。
愛する三国連太郎を追いかけて
映画「飢餓海峡」のロケ地・北海道まで行ったとか
十八代・中村勘三郎の筆をおろしてやったとか
逸話に事欠かぬ数奇な女優だった太地喜和子。
スナックのママが運転する車が海に転落したとき、
同乗の俳優二人とママ自身は脱出できたが
深酒でベロンベロンのの喜和子は帰らぬ人となる。
彼女らしい死に方と言ったらそれまでながら哀れ。
神保町シアターの特集、
「笠智衆と素晴らしき老優たち」は
今日を入れて残すところあと3日。
スケジュールを記す。
「寅次郎夕焼け小焼け」
20(水)16:30
21(木)14:15
22(金)16:30
「男の泣きどころ」
20(水)12:00
21(木)19:15
22(金)12:00
チケットは当日販売のみ、10分前の開場。
料金は一般1300円、シニア1100円。
サービスデーの水曜はどちらも1000円。
ご興味のある方はお急ぎをー。