太陽に向かって歩く旧早稲田通り。
ほどなく早稲田通りにぶつかり、
進路を東に取った。
警察病院の辺りで回り込む。
此処はかつて陸軍中野学校があった場所だ。
市川雷蔵主演で大映が撮ったシリーズ映画は
とてもデキが良く、時代劇スターの役域を
大きく広げることにつながった。
中野駅前のガードをくぐり、レンガ坂を上がる。
中野で一番雰囲気のあるスポットである。
中野に来ればほとんど毎度顔を出す、
「vivo daily stand 中野本店」へ。
都内に数ある「vivo」は女性限定で
ドリンク2+デリ1、
あるいはドリンク1+デリ2の3点セットを
¥1210で提供するが
本店だけは男性客もOK、ソレをお願いした。
「vivo」は常にどこかに行く前か、
行った帰りに立ち寄るため、
J.C.的にはドリンク3+デリ0が
ありがたいけれど、そいつは不可。
ハートランドの生とエゾ鹿のパテを所望した。
英語名はヴェニスン・パテ。
鶏肉がチキンで豚肉がポークなら鹿肉はヴェニスン。
胃に負担のかからない海老のビスクにしよう。
一瞬、そう思ったものの、
エゾ鹿に惹かれるものがあった。
うわっ、けっこうデカいのが
粒マスタードを従えて供されたヨ。
量的には「らせん屋」の仔羊バーグくらいある。
さっきのバーグはあまりラムラムしくなかった。
ところがこれは強烈に鹿々(しかじか)しい。
つい、赤ワインが欲しくなった。
スペインのガルナッチャ(仏のグルナッシュ)をー。
すると野性味あふれる1杯は
オー・マイ・ディアー(dearじゃなくてdeerだネ)!
鹿クンと相思相愛、ピタリ寄り添うじゃないかー。
壁に1枚の木札が掛かっている。
=ビーボのマナー=
スケベ 心 厳禁 久遠 寄贈
ハハ、笑かすなァ。
こういうところはナンパ師だらけなんだネ。
いろいろ楽しんで会計は前記の通り1210円。
現金で支払おうとするとバーテンダレス曰く、
「キャッシュレスで電子マネーのみの受付けなんです」
「そういうの苦手なんだよネ。
じゃ、USドルでー、おっと、これも現金かー」
スイカを差し出しながら
「前からこんなだったっけ?」
「いいえ、本店と都内ではあと2軒がここ最近」
「ハハ~ン、従業員が悪いことしちゃったんだネ」
「アハハ、けっしてそんなワケじゃ・・・」
カウンターに並んだほかの客たちも
いっせいに笑い声を立てたのでした。
[vivo daily stand 中野本店」
東京都中野区中野3-35-6
03-5888-5476