2024年1月11日木曜日

第3447話 人世 ” 最硬 ” の焼き鳥

今宵の晩酌は墨田区・菊川。
目当ての店があったのだが到着してみると
コース料理主体でサクッといけない感じ。
よって近くの「まつば屋 心平」に移動。
こちらはグッとカジュアルな居酒屋である。

止まり木に止まると先客は一人のみ。
妙齢の女性がお銚子を手酌で飲んでいた。
ドライの中瓶を通し、品書きを吟味する。
メインは焼き鳥のようだが
刺身もそこそこの品揃えだ。

最初に目についたのは ” 小肌とガリ ”。
” ガリ ” が ” がり ”に見えてしまい、
” 小肌とがり ”じゃ、いったい何のことやら?
ずいぶんとんがってんじゃん、
と思ったものの、小肌と漬け生姜なんだネ。

箸袋がとても可愛い。
” おなじさくなら あなたのそばで ”
言葉の脇に咲く薄いピンクの花はコスモスかな?
いや、ひなげしだな。
当然、アグネス・チャンが歌い出すが
浪花の小姑が黙っちゃいまい。
「正月早々、何事やねん?」
苦情が舞い込むのでやめとく。

しかも花はひなげしではなかった。
ひなげしはオレンジの花をつけるそうだ。
よってこれはポピーということにまる。
ケシの世界もいろいろあるんだなァ・・・。

小肌とガリは小肌だけのほうが
うれしいけれど、お願いしてみた。
酢〆の小肌の細切りに
きざんだ生姜と大葉がまぶさっている。
それほど期待しなかったわりに悪くなかった。

芋焼酎の一刻者<赤>を所望すると女将さんが
「甕入りもありますヨ」
「へえ~っ、珍しいな、美味しいの?」
「甕のほうがまろやかなんですってー」
「ふ~ん、じゃ、ロックでお願いします」
言われてみれば、まろやかなような気もした。

そうしておいて焼き鳥をー。
ねぎまとハツとを塩、レバーをタレで1本づつ。
うん、じゅうぶんに水準に達している。
珍しくも親鳥正肉があって
その珍しさに塩とタレ、計2本も頼んじまった。

いや、マイッた。
歯は丈夫なほうだが、とにかく硬いのなんのっ。
歯が立たないってのはこういうことだ。
どうにか1本やっつけたが
アゴが疲れて2本目はどうにも食指が延びない。
長いこと焼き鳥を食ってきたけれど
人世最高ならぬ、” 最硬 ” の焼き鳥が此処にあった。
いや、マイッたヨ。

「まつば屋 心平」
 東京都墨田区菊川2-5-7
 03-6327-0416