2024年1月4日木曜日

第3442話 年の瀬の 築地と銀座を ハシゴする (その4)

熱燗にマッチするとも思えぬ蟹サラダを追加。
J.C.的には「三州屋」の必食アイテムがコレ。
原価高騰で今は無き一丁目店(支店)では
品書きから消えた蟹だが
さすがに本店の矜持、変わらず載せている。

大皿にずわい蟹の脚肉6本。
トマト・きゅうり・レタス・パセリに
特徴的なのは大量の玉ねぎ。
いわゆるオニオンスライスより厚めの切り口だが
白玉ねぎにつき、口当たりは柔らかい。
ドレッシングはサウザンアイランド風。

蟹は生酢に生醤油を数滴垂らして食べるのが
J.C.風ながら、立て混む時間に余計な注文は
スタッフのリズムを崩す、努めて自重した。
カタチの良い正肉が6本も付いて
1300円はお値打ちというほかない。

左隣りのリーマンがすべて食べ終えた。
食欲に圧倒されたが彼はまだ終らなかった。
エビス大瓶をお替わりし、
金目鯛煮付け定食でごはん大盛りだとヨ。
先刻からチラチラ横顔を盗み見していたが
今度だけは露骨に直視する。

しかも定食の味噌汁を当店の名代、
とり豆腐に差し替えやがんの。
スゲえ! いや、ものスゲえ!
敵ながらあっぱれ、いや、敵じゃないけどネ。

左ほどではないにせよ、
右隣りのオバアちゃんもよく食べるわ。
大瓶&定食のあとにいわしの煮付けが運ばれた。
かなりのサイズが2尾付けである。

定食を食了したあとでごはんがないのに
いわしだけをムシャムシャムシャ。
このお歳の女性のビール大瓶に驚いたが
デザート代わりのいわしにゃ、もっと驚いた。
ひるがえっておのれの少食ぶりが何とも惨め。
打ちひしがれ、うつむき加減でありました。

会計は樋口一葉1枚にオツリがコインのみ。
宝町から都営浅草線に乗って浅草で下車。
暮れのエンコの人出は大したことがない。
みんなノガミのアメ横に行っちゃってる。

雷門の向かいのスーパーで
立派なわさびを1本調達。
今年は豊漁のおかげで
蟹の値段はずいぶん下がったけれど
わさびの高騰はとどまるところを知らない。

1本2500円じゃ、刺身より高いっての。
脇役が主役を食うとはこのことであります。

=おしまい=

「三州屋本店」
 東京都中央区銀座2-3-4
 03-3564-2758