2025年10月31日金曜日

第3918話 氷雨に濡れて 熱いタンメン

氷雨が降っておりました。
聴こえてきたのは
天皇陛下の愛唱歌、
「氷雨」ではなく、
三田明のヒット曲でした。

♪ 小雨にけむる宵でした
  銀座は西の裏通り
  肩をぬらして行く僕に
  傘をだまってさしかけた
  長いまつ毛の可愛い子
  レモンの匂いのするような
  夕子に逢ったその日から
  恋する僕になりました ♪
   (作詞:吉田正)

「夕子の涙」は1967年のリリース。
珍しくも作曲家・吉田正が
作詞まで手掛けている。
2番ではこの夕子が突然、
銀座から姿を消す悲劇が待つ。

それはそれとして雨の日は
メトロで濡れずに済む店へ行く。
北千住のつもりだったが
一つ手前の町屋で降りた。
かつて何回か利用した店を
ふと思い出したのだ。

「丸福」を訪れたのは2008年。
3月から6月の短い間に
4回も来ている。
それ以後、ご無沙汰でプッツン。

「丸福」なる屋号は
日本そば・ラーメン・食堂と
都内にいろいろ点在するが
相互関係は無さそうだ。

17年ぶりの懐かしい店内に
手洗い用の蛇口が健在。
ホッコリ気分でドライ大瓶をー。
大瓶がある店は好もしい。

定食中心につまみ類も豊富。
おや、すいとんが見当たらない。
まっ、いいか。
いろいろ目移りするなか
身体が冷えたので
熱いタンメンを麺半分でお願い。
野菜の補給も兼ねている。

具材は、豚バラ・キャベツ・
もやし・ニラ・にんじんに
しめじとオーソドックス。
フツーに美味しくいただいて
支払いは1530円也。

会計時に店主に訊ねた。
「すいとんは止めたんですか?」
「いえ、寒くなったら始めます」
都内ですいとんを供する店は
きわめて珍しい。

実は J.C.、当店のすいとんが
とても好きなんざんす。
17年も食べておりませんがー。

「丸福」
 東京都荒川区荒川6-42-7
 03-3895-4026

2025年10月30日木曜日

第3917話 戦い済んで 酒酌み交わす

この日は JR神田駅北口、
初めて利用する雀荘に集結。
雀荘の手配はいつも
幹事的存在のホケンの役割だが
何かの手違いで喫煙フロアになり、
嫌煙家はマスクをつけて卓に着く。

東風戦の言わば、四半荘16回戦。
8時間弱で終戦を迎えた。
神奈川県の真ん中から来る、
1人のメンバーは早々に帰宅の途。

残った2人は
NY時代から旧知の仲のM本サンと
ポン友兼のみとものB千チャン。
彼らは初対面につき、
終戦後、一飲に及んだ。

日曜の神田は平日と打って変わり、
開いてる店が極端に少ないが
ガード下はそれなりの活況を
呈していた。

「漁師酒場 あらき」に飛び込む。
あとで知ったが当店の本拠は大阪。
その名の通り、海産物中心に
品揃えは豊富だ。
芋ロック、芋お湯割り、冷や酒、
それぞれ好みの酒で乾杯。

つまみも各自、好きなものを
ランダムに通してゆく。
午前中から打ち始め、
飲みもの以外口にしていない。
みんな腹ペコである。

あまり食べない J.C.も空腹。
好物の秋刀魚刺しに
小肌にぎり2カン、
うなぎ太巻き1本を発注した。

黒霧島のロックが濃い。
此処は酒もつまみもケチらない。
酔っ払うので焼酎は1杯にして
ドライの大瓶に移行する。
雀荘で中ジョッキを
6杯飲んで来たのにネ。

戦いのため観られなかった、
ワールドシリーズ第2戦。
由伸の快投に一同溜飲を下げた。
一しきり野球の話題のあと、
語り手の中心はM本サンである。
あのナベツネの懐刀だった彼は
政界にも通じている。

ナベツネ氏は歴代首相の何人かを
社長室に呼びつけたという。
一番懇意にしていたのは
故中曽根元首相だったそうだ。

ナベツネを天敵として忌み嫌い、
逃げ回ったのは
初めての女性首相の生みの親、
あのヒョットコ野郎なのでした。
さもありなん。

「漁師酒場 あらき」
 東京都千代田区鍛冶町2-13-8
 03-3525-8287

2025年10月29日水曜日

第3916話 ワイン仲間と 奥様公認酒蔵

以前、親しくつき合った、
ワイン仲間と一飲に及ぶことに。
仕掛け人は J.C. である。
奥様公認酒蔵を自認する、
湯島の「岩手屋支店」に
SッチとKイチを呼び出した。

Sッチとはワイン会のあと、
JR総武線・浅草橋で
途中下車させ、
二人二次会をときどき催した。
彼は3つ先の亀戸に棲んでいた。

小糠雨の降りそぼるなか、
根津から湯島まで傘もなく歩く。
途中、不忍池に立ち寄ると
数こそ少ないものの、
気の早い渡り鳥がすでに飛来。

数えてみたら
キンクロハジロ9羽、
ユリカモメ3羽、
オオバン1羽の計13羽。
彼らは第一陣と思われる。

雨の勢いがちょいと強まり、
煩わしくなったが
構わずズンズン進み、
18時過ぎには奥様公認酒蔵着。

Sネッチがすでに来ており、
ドライ中瓶を注ぎ合って乾杯。
ほどなくKイチもやって来た。

刺身3点盛りを個別盛りで3人前。
内容は真鯛・いなだ・びんちょう。
この5月に来たときは
かいわり・かつお・あじ・いわし・
まぐろ赤身・酢だこ。
以上6点から好みの3点を択べ、
その方がずっと好かった。

岩手の海藻、まつも(松藻)と
会津産馬刺しも通す。
赤身がとても好い。
熊本産をよく見掛けるが
あちらはアルゼンチン産や
カナダ産のことが多々ある。
その点、会津産は信頼がおける。

岩手の銘酒、七福神吟醸を各自、
冷やで手酌に及んだ。
二人には岩手のすいとん、
ひっつみを取ってやった。
2合づつ飲んだところで
ビールに戻る。

あとはニシンの切り込みやら
銀鮭塩焼きなどをつまみ、
お勘定は2万5千円弱。
年内の再会を約して
お開きとなりました。

「岩手屋支店」
 東京都文京区湯島3-37-9
 03-3831-9317

2025年10月28日火曜日

第3915話 不祝儀で 東伏見へ

都立板高の級友・T橋クンに
先立たれてしまい、
弔いに彼の自宅へ。
同行したのは盟友・N田クンだ。

西武新宿線・東伏見駅で
待ち合わせたが
1時間ほど余裕があり、
2つ都心寄りの上石神井駅から
小雨降るなかを歩いて行った。

未亡人にお悔やみを述べ、
仏壇に線香を上げて手を合わせる。
この1月に一献の予定だったが
体調を崩した彼は出席かなわず、
昨年5月が最後となってしまった。

東伏見には初めて。
実は今を去ること45年前。
W大1年のときに来る予定だった。
当地に大学のグラウンドがあり、
学友とラグビーの練習を
見る予定のところ当日、
生憎の土砂降りのため流れた。

帰りがけ、N田とともに
駅そばの居酒屋で故人を偲ぶ。
「かっぱ屋」は地元の人気店。
テーブルはすでにいっぱい。
カウンターに横並びとなる。

黒ラベルの大瓶を注ぎ合い献杯。
つまみが思い出話だけ、
というわけにも参らない。
平目・本まぐろ中とろ・北寄貝を
盛合わせてもらう。

平目と北寄は申し分ないが
大間の産を誇示するまぐろは
あまり感心しなかった。
大間どころか、
ホントに本まぐろかいな?
疑問を抱いたほどである。

相棒はふぐのヒレ酒、
当方は一ノ蔵の冷酒に切り替え、
たら白子の揚げ出し、
銀だら西京焼きを
追注に及んで分け合う。

ビール好きの J.C.は
瓶ビールに戻り、
N田は芋焼酎お湯割りに移行した。
勘定はいくらだったかな?
二人で壱万円はしなかったと思う。

メトロ東西線へ乗り換える盟友と
高田馬場で握手を交わして別れた。
これからも旧友との別れが
待っているんだろうな・・・
自分が先かもしれないけれど
とにかく憂いを抱きながら
山手線に揺られて帰りました。

「かっぱ屋」
 東京都西東京市富士町4-14-15
 042-468-5674

2025年10月27日月曜日

第3914話 日本そばが 中華カレーに

鯛わた塩辛で1杯飲ったあと、
大塚三業通りを南下。
気に入りの「小倉庵」に
やって来たら定休日でやんの。
まっ、いいでしょう。

道筋をプラタナス通りに変え、
なおも南に進む。
不忍通りを猫又坂下で渡ると、
名前が千川通りに変わり、
都内屈指の桜の名所、
播磨坂下まで飲食店が
何軒か立ち並ぶ。

湯立坂を越えたところで
「天々来」なる中国料理店に遭遇。
以前テイクアウトしたことがあり、
見覚えのある店だ。

初めて入店し、ドライ中瓶。
とにかくビール最優先だから
あとはチョコッとツマめればいい。
菜譜には手軽な小品が見当たらず、
麺類・飯類がズラリ。

惹かれたのは
=中華料理店のカレーライス=
四川角煮カレーと四川エビカレー
  各935円
この2品であった。

ポークカレーが好きだから
角煮カレーをライス半分、
ルウも少なめで発注。
するとけっこう立派なのが
運ばれて来た。

かき玉スープにきざみたくあん、
緑のキューちゃん風。
そして冷豚しゃぶが2枚乗る、
野菜サラダまであり、ドン引き。

カレー自体は
八角が主張するでもないが
中華風ではあった。
主役の角煮は脂身がトロリ。
しかるに赤身部分は硬い。

赤身がホロリと崩れるほどに
よく煮込まれた角煮には
しばらく出逢っっていない。
出費を惜しまず、
高級中国料理店に行けば、
問題は解決するんだがネ。

麺でも飯でも半量を
お願いすることの多い J.C.。
いつも思うことに
ホントに半量かい?
実際は明らかに半分以上だ。

これは店側が
「いくら何でも少な過ぎだヨ」
その苦情を回避するためとしか
思えないのだ。

日本そば転じて中華カレー。
陽光うららかにして
暖かな昼下がりのことでした。

「天々来」
 東京都文京区小石川5-35-9
 050-5595-1482

2025年10月24日金曜日

第3913話 亡き母を 大塚で偲ぶ

大塚駅南口の正面にありながら
ウッカリ見落としそうになるほど
目立たぬ店構えのそば屋「岩舟」。

栃木県・小山と群馬県・前橋を
結ぶ両毛線に岩舟駅があるが
日本酒の取り揃えに栃木産が
無いので無関係のようだ。

開店直後の12時過ぎに赴くと
けっこうな客入りである。
カウンターに促され、
ビールの銘柄を訊ねたら
一番苦手なエビスのみ。

おおっと、そうだった!
久々なのですっかり忘れていた。
此処はエビスだけなのだ。
ビールをあきらめ、島根の銘酒、
蛍月の冷たいのをお願いする。

そうしておいて前回同様、
馳走三点盛りである。
たらこ燻製・鯛わた・ほや塩辛・
豆腐よう・いぶり豆腐・莫久来
以上六点から三点択べるので
たらこ・鯛わた・莫久来をー

たらこはごくフツー。
莫久来(ほや&このわた)は美味。
でも一番は鯛わただ。
これは鯛の塩辛、あるいは
酒盗と呼んでもいいだろう。

実は亡き母親の大好物で
小学生の頃はしょっちゅう、
食卓に上っていた。

そのせいか、J.C.は
鰹の酒盗が大の苦手で
イカの塩辛もモノによっては
敬遠するにもかかわらず、
鯛わただけは大好きだ。

もう半世紀以上も
お目に掛かっていないが
鯛の真子の塩辛があった。
母は鯛わた以上に好み、
見つけたら3瓶も4瓶も
まとめて買い込んで来て
父親を呆れさせたものだ。

鯛わたは今も手に入るが
鯛子のほうは知る限り、
新潟・柏崎の田塚屋だけが
製造を続けている。

真っ昼間につき、酒は1合にして
そろそろそばで締めよう。
生桜海老と辛味大根のぶっかけ。
発注しかかって思いとどまった。
ビール無しではいかにも味気ない。

またもや、そば屋に来て
そばを食べぬ無作法をした。
会計は1880円也。
しかれども此処は大塚。
気に入りのそば屋に向かい、
大塚三業通りを南に歩きました。

「岩舟」 
 東京都豊島区南大塚3-53-9
 03-3987-9266

2025年10月23日木曜日

第3912話 近頃のブレクファスト

近頃は朝食の内容が
ずいぶん変わった。
量は減ってないから
歳のせいではないだろう。

アメリカン・ブレクファストは
ボリュームがあり過ぎるので
アメリカに居たときから
食べなかった。

朝からあんなに食ったら
午前中ずっと胃がもたれるし、
ランチも食えなくなる。
わが朝食はフレンチに近い。
ときどき玉子が加わって
イングリッシュになるけどネ。

5年前のある日の献立は
E・マフィンのトースト 1/2
3M ボイルドエッグ
フレッシュ・ライムスカッシュ
ミント・ティー

それが今週のある朝は
5枚切り食パンのトースト 1/2
ハム&オニオン・オムレツ
トマト・きゅうり・レタス・
アーリーレッドのサラダ
赤紫蘇スカッシュ
ミルク・ティー

糖尿の気を疑われて以来、
朝の生野菜は
欠かさぬようになった。
玉子は食べたり、
食べなかったりなのにネ。

友人の N塚サンに
BRUTUS の喫茶店特集を
送られてからというもの、
昔よりコーヒーを
飲むようにはなったものの、
やはり朝は紅茶が好い。

以前はミント・ティー一辺倒。
それが近頃は
ミント、ミルク、レモンの比率が
5:4:1になった。
ハーブの値段が急騰したせい、
無きにしも非ずだ。

毎朝あれほど食べた、
イングリッシュ・マフィンが
5枚切りに取って代わられる。
どちらも雪印の有塩バターを
たっぷり塗るが
硬めのマフィンより
柔かい食パンを好むようになった。

歯はまだ丈夫だけど歳のせいか
朝からバゲット系はちとキツい。
フランス人だって
朝はクロワッサンだもの。
ただし、カフェ・オ・レを
飲む習慣はありません。

2025年10月22日水曜日

第3911話 リトル・ソウルで そばと天丼

荒川区・三河島は
東京屈指のコリアンタウン。
新宿区・新大久保、
江東区・枝川と合わせ、
東京三大コリアンタウンを
形成している。

ん? 誰が決めたんだ!ってか?
たぶん、アイツだネ。
ほら、あの・・・何だったけな。
あれサ、 J.C.ナントカってヤツ。

日暮里に来た。
山手線・京浜東北線・
常磐線・京成本線・
日暮里・舎人ライナーに加え、
バスも3路線の起点となって
どこへ行くにも便利な場所だ。
けれども今日は
あまり遠くへ行きたくない気分。

てなこってスタスタ歩き、
常磐線で1駅先の
三河島に来たというわけだ。
春になると桜並木が色づく、
七五三通りのほとんど外れ。
尾竹橋通りにぶつかる手前に
日本そば「大黒屋」はある。

何度も前を通っているが
利用したことはない。
入店して驚いた。
ゆったりしたレイアウトに
けっこうな客入りである。
相席をさせないため、
四人掛けに一人も散見される。

そば・うどん・丼物以外は
板わさ・さつま揚げ・もつ煮が
つまみとしてあるだけ。
それともう一つ、
1個100円の焼きおにぎり。
こりゃ、コンビニより安いわ。

ラガー中瓶に板わさのお通し。
かまぼこは一級品じゃないが
サービス品に文句を垂れたら
バチが当たる。

店頭に表示されていた、
そば&ミニ天丼のセットを
もりも半分で通した。

エッ? これで半量?
他店の一人前はある。
海老と茄子が1本づつの天丼も
手のひらにズシリときた。

味はともに悪しからず。
腹はいっぱい。
繁盛の理由が判らんでもない。
リトル・ソウルで
初めて食べた日本そば。
そばの神様、カムサハムニダ!

「大黒屋」
 東京都荒川区東日暮里6-5-16
 03-3891-0372

2025年10月21日火曜日

第3910話 自宅から 一番近い 埼玉県

TVの番組に埼玉県・川越が
映し出されていた。
ここで J.C.ふと思う。

神奈川と千葉は
ときどき出掛けているが
埼玉にはほとんど足を
踏み入れていない。

そりゃ、浦和・大宮・草加・
春日部で飲んだことはあるし、
泊りがけなら川越・秩父も
訪れてはいるけどネ。

家から最も近い埼玉県は川口。
千葉県・松戸といい勝負だ。
手始めに行ってみよう。
日暮里から7つ目だから
たかだか15分で行け、
電車賃も178円と来たもんだ。

「あおき食堂」は知っていたが
あちらは一駅先の西川口。
チャチャッと調べて
「わらじ亭」なるとんかつ屋が
アンテナに引っ掛かった。

可愛いらしい商店街を往く。
十数年前に歩いた記憶あり。
道の両サイドに紅白の提灯が
ブラ下がっている。
”ふじのいち” の文字が見え、
此処はふじの市通りのようだ。

=とんかつ 定食 わらじ亭=
袖看板が遠目にも目立つ。
引き戸を引くと
L字カウンターに6席のみ。
底辺の右端に着き、ドライ中瓶を。

サッポロ赤星もあって
壁のポスターが云うには
川口と言えばサッポロビール
日本最古のビールブランド
サッポロラガービール
だとサ、そうなのかな?

名代のわらじとんかつを
単品でお願いした。
豚ロースを叩き延ばし、
いわゆる紙カツ仕立てらしい。

待つこと5分。
繊キャベ&マカサラを従えた、
わらじは思ったより厚い。
6切れにカットされ、
脂の付きもよろしい。

先客・後客合わせて8名。
その全員がわらじ定食である。
かつ650円、食事セット450円。
1100円+税のようだが
唯一人、ビールを飲んだ、
J.C.の勘定は1292円也。

年配の店主曰く、開業30有余年。
今はパートの女性も辞め、
独りで切盛りとのこと。
なかなかいい店だった。
長いわらじを履いた甲斐が
あったというものです。

「わらじ亭」
 埼玉県川口市幸町2-17-6
 048-252-7920

2025年10月20日月曜日

第3909話 そば屋の跡の サカナ食堂 (その2)

根津の「ヲサカナ食堂」。
本日の刺身の内容を問うと
まぐろ・かつお・いなだ・
真鯛・サーモンとのこと。
日替わり丼は
まぐろ&かつおの盛合わせ。

立派な内容だが
「ヲサカナ食堂」のサカナ攻めに
耐えられそうもない。
カジキ照り焼き定食を所望した。
焼きものは刺身の小鉢付き。

たっぷり20分掛かって配膳。
ブッタマゲやした。
厚さ4センチはあると思われる、
バカデカいカジキが皿に横たわり、
これ見よがしの姿態は
「サァ、食え!」と言わんばかり。

ふっくらと焼かれ、垂涎を誘う。
添えられた大根おろしと
口元に運べば美味なれど
こんなに食えるかな?
他店の3倍はありそうだ。

小鉢2種は、小冷や奴、
セロリ醤油炒め。
味噌椀はわかめ。
ごはんは茶碗に普通盛り。
隣客の大盛りは同じ茶碗に
飯のそびえるさま、山の如し。
武田信玄も真っ青だ。

刺身がまた小鉢どころじゃない。
まぐろ1・いなだ2・サーモン1。
切り身大きめにして
食べ出じゅうぶん。
すかさず浦霞の冷酒と
もう1枚小皿をもらい、
生醤油と同割りにして
自家製づけの製造に励んだ。

米人と日本人の中高年夫婦が
来店して日本のオバちゃんが
メニューの説明に四苦八苦。
店に英語メニューの用意は無い。

かつおをツナと訳したが
ツナはまぐろ、
かつおはボニートだヨ。
口を挟んでやりたかったが
席がちょいと離れており、
余計なお節介はやめといた。

日本人3人組が隣りに着き、
うち1人が特上刺身を注文。
いい機会だから盗み見ると
その内容がスゴいのなんのっ!

普通の刺身定食に加え、
アワビに帆立にイクラまで
盛り込まれていた。
まさに「ヲサカナ食堂」の
面目躍如である。

中瓶1本、清酒1合ともども
会計は3700円也。
肝心かなめのかじきは
1/3ほど残しちまいやした。
食い切れませんでした。

「ヲサカナ食堂」
 東京都文京区根津2-36-12
 03-5834-7541

2025年10月17日金曜日

第3908話 そば屋の跡の サカナ食堂 (その1)

文京区・根津界隈はわりかし
日本そばの佳店に恵まれている。
中でも長蛇の列を誇るのが
(誇られても困るけど)
「よし房 凛」だ。

不忍通りのその角を
東に折れてほどなく、
なかなかのそば屋が
短期間ながら営業していた。
姉がフロア、妹は厨房、
好ましいコンビネーションを
見せていた二人だが突然閉業。
理由は知らない。

跡を居抜きで引き継いだのが
サカナをメインとする食堂で
その名も「ヲサカナ食堂」。
オサカナでいいと思うが
なぜかヲサカナだ。

初訪問。
13時で全23席が
ほぼ埋め尽くされている。 

定食主体の品書きの裏側、
ドリンクメニューを見ると
おう、エラいネこの店は!
ビール(中瓶 700円)が
サッポロラガー
アサヒスーパードライ
キリン一番搾り
3社揃い踏みと来たもんだ。
サントリーを外した気持ち
判らぬではない。

まずはいつもの銘柄を通し、
表側の品書きを吟味する。
紹介しちゃったほうが早いかー。

刺身定食(1700円)
特上刺身定食(2300円)
銀鮭塩焼き定食(1800円)
カジキ照り焼き定食(2100円)
かます塩焼き定食(2100円)
サーモンハラス定食(1900円)
鯛ハラス定食(2300円)
日替わり丼と
 アジフライ定食(2300円)

刺身定食以外は刺身の小鉢付き
1名様につき1つの定食を
お願いしております

見事なまでにサカナ一色である。
小品として
いかの塩辛・しらすおろし・
北海道産明太子・沖縄産もずく
どこまでも海産物で押し通す。
と思ったら1品だけ
黒毛和牛コロッケがあった。

=つづく=

2025年10月16日木曜日

第3907話 足立区・高野は ”たかの” に非ず

都心へのアクセスに
苦労する足立区民のため、
東京都が敷設した、
日暮里・舎人ライナーは
J.C.もときどき利用する。

隅田川と荒川をまとめて越え、
扇大橋駅、その次が高野駅だ。
誰しも ”たかの” と訓ずるが
音読みの ”こうや" が正しい。

初めて降りてみた。
ハッキリ云って何も無い。
個人経営の飲食店は
ラーメン屋と喫茶店があるだけだ。
喫茶など週3日しか営業しない、

大手チェーンのとんかつ屋、
マクドナルド、鮨・割烹は
この世の春とばかりに
3軒並んで軒を連ねていた。

あとは交番とパチスロ。
そして病院とクリニック。
そこに寄生してご利益に
あやかる薬局がいくつかー。

ラーメン店「山中房」に入る。
本日のランチ(950円)は
カレーライスと
塩らーめんのセット。
ともに半量でお願いした。

ドライ中瓶を飲みながら待つ。
調ったカレーは豚肉1片に
玉ねぎ・にんじんと家庭的だ。
ラーメンには干し桜海老、
いや、干しオキアミがパラパラ。

けして不味くはないけれど
舌に訴えるものもない。
ラーメンは完食できたが
カレーは少し残した。

それにしても何も無い所だ。
高野はこうやでも
字は荒野を当てる方が
ふさわしそうだ。

歩いて2~3分の至近、
扇大橋へ1駅戻った。
スーパーのライフで
晩酌用の買い物である。

極めて珍しいサカナに遭遇。
鹿児島産・クロホシフエダイは
美味なことを聞いていたが
初めてお目に掛かった。
大きいのは50cmになると聞く。

生わさびと生かぼすの
生々コンビで賞味した。
死後硬直がすでに溶け、
やや柔かくとも
繊細な滋味に満ちている。

扇大橋もまた何も無いが
このサカナに出逢えただけで
無駄な一日ではけして
ございませんでした。

「山中房(さんちゅうぼう)」
 東京都足立区扇2-46-3
 03-3890-5702

2025年10月15日水曜日

第3906話 北京ダックの お手軽ランチ

UENO 3153の1階に
北京ダック専門店があり、
定食仕立てや炒飯・麺類との
組合わせメニューが充実。
薄餅2枚分の北京ダックは
小籠包への変更も可能だ。

グループではなく独りでの
北京ダックはハードルが高い。
それを手軽に提供するのは
ナイス・アイデアと云える。

入店したらかなりの大箱。
13時を回って空席が目立つが
それでもポツポツ客は訪れる。
夕方5時までハッピーアワー。
生ビールが割安ながら
サイズは中と小の間くらい。

別卓に運ばれてくのを見たら
泡もあふれんばかり。
生を見限り、中瓶を通すと
きゅうり&大根の酢漬けがー。

ダックセットの選択肢は広い。
担々麺・海鮮麺・上海焼きそば・
五目炒飯・海老チリ・回鍋肉・
麻婆豆腐・回鍋肉・八宝菜などが
1550~1650円の価格帯に納まる。
海鮮麺を麺半分で発注した。

ダックは皮のみならず、
肉もしっかり付いている。
本来この料理はこんがり焼いた、
皮を愛でるものだ。

肉付きは四川ダックと呼ばれ、
薄餅の代わりに
花巻(素饅頭)が相方となる。
やはり皮だけのほうが好い。

細切りきゅうりに白髪ねぎ、
四川味噌のソースがたっぷり。
アヒル肉も柔らかく、
それなりに楽しめた。

具材満載の海鮮麺は塩味スープ。
レベルの高さをうかがわせる。
プリッとした小海老2尾、
飾り包丁入りのイカ2片、
割れ身ながら帆立貝柱3個。
野菜は白菜・小松菜・にんじん・
竹の子・キクラゲと多種多彩。

高級店なら海鮮麺だけで
1650円を軽く超えるだろう。
箸袋に支店網が記載され、
銀座・高田馬場のほか、
横浜中華街にもあった。
ビールを中瓶1本にとどめ、
会計は2288円也。

似顔絵描きの姿が
すっかり消えた石段を上り、
西郷さんとご対面。
彼のまなざしの先、
ふるさと薩摩の方向を
仰ぎ見て帰路に着きました。

「北京鴨店
(ペキンカォヤーテン)上野店」
 東京都台東区上野1-57
   UENO 3153 1F
 03-5846-8058

2025年10月14日火曜日

第3905話 不忍池とポルノ映画館

今日の散歩は不忍池のほとり。
涼しくなってきたので
そろそろ気の早い渡り鳥が
飛来したんじゃないかな?
そう踏んで出掛けた。

上野動物園の西園沿いを歩くと
まだ何も来ていない。
カルガモを1羽見かけたが
留鳥につき、渡りとは無縁。
カメが甲羅干しをするばかりだ。

ボート池の南端で
この池では見たことのない、
3羽の鳥に出逢った。
ガンの仲間だと思うが
正しい名称は判らない。

カモより一回り大柄で
長い首がガンの特徴だ。
近づいたらパタパタと
飛び立ちやガンの。
さすがにガンである。

散策もほどほどに昼めし。
上野駅方面に行くか、
広小路に廻るか、
取り合えず池畔を離れた。

入館したことはないが
ポルノ映画専門館が開館中。
このご時世よくもつぶれずに
生き残っているものだ。

何気なしに上映中の
ポスターを眺める。
いやあ、タイトルが過激というか、
滑稽というか苦笑を強いられる。
せっかくだから紹介しよう。

「悶える義妹 遺影の前で抱いて」
「如何にも不倫、されど不倫」
「セックス指南物語
  理性をこえた腰づかい」
「いんらん千一夜 恍惚のよがり」

誰が考えたか知らないが
付けも付けたりである。

京成上野駅の前を通過して
UENO 3153に到達。
3153は ”さいごうさん”と読む。
西郷さんの銅像直下だからネ。

歌は世につれ 世は歌につれ
西郷さんは犬をつれ

てなもんや三度笠。

2025年10月13日月曜日

第3904話 その夜を救った 北寄と赤貝

ワイン友だちに誘われて
とあるワイン会に出席することに。
すると当日、
本人は体調を崩してドタキャン。
まっ、仕方なかんべサ。

会場は丸の内のホテルにある、
ビュッフェ専門の店。
イヤな予感がしていた。
定刻の18時半に受付で
金8900円也を納め、
ワイングラスを1個受け取る。

ワインの品揃えはイマイチ。
いや、イマニと来たもんだ。
料理がまたあんまりで
フライドポテト系が3種もー。
一応、ハム&チーズは
並んでいたものの、
中華料理まがいが何品かー。
ダメだこりゃ。

結局、何も口にしなかった。
ワインもルーマニアのピノを
2杯飲んだだけ。
開始から15分で受付嬢に
「失礼していいですか?」

鳩が豆鉄砲食らったような
彼女は目を丸くさせ、
「あの、お荷物は?」
「いや、何もありません」
「エッそれじゃ、あの、その」
「サヨナラ!」

しょうがねェな、何処へ行こう。
メトロ大手町駅で日比谷線。
自宅方面に戻るのもシャクだし、
2駅先の内幸町で下車した。
新橋駅方面へトコトコ歩く。

新橋は真っ当な飲み処が少ない。
それはじゅうぶん承知の助。
とはいえ夜の街をさまよう。
グルグル歩き回ったが
やはり気に染まる店は無い。

ニュー新橋ビルに潜ったものの、
此処でも見つからない。
最後の手段は線路の向こう側、
駅前ビルである。

滑り込んだのは初めての
貝、刺身専門店を謳う、
「しらはら」なる酒場。
ドライ中瓶をトクトクして
品書きとにらめっこ。

牡蠣が売り切れており、
北寄貝に回避した。
さすがに専門店でモノがいい。
赤貝を追加するとこれも好し。

佐渡の銘酒、北雪を所望し、
ゆるりと味わう。
最悪の夜を救ってくれたのは
北寄と赤貝のコンビだった。

貝のおかげで外出した貝が
もとい、甲斐がありました。
つまらぬ夜を救ってくれて
サンクス・シェルズ!

「しらはら 新橋店」
 東京都港区新橋2-20-15
 新橋駅前ビル1号館B1
 03-6263-8866

2025年10月10日金曜日

第3903話 天ぷらで ビール愉しむ ソープ街

日暮里で乗った錦糸町行きバスを
下谷警察署前で降りた。
警察には用事が無いため、
其処から散歩のスタートだ。

国際通りを横断し、
パイロットや CAの守り神、
飛不動には手を合わさず素通り。
空は大事かもしれないが
陸の安全が第一だからネ。

竜泉から千束へ歩く。
そろそろ13時、昼飲みと参ろう。
そうだ、久々に「梅月」へ行こう。
ソープ街・吉原の片隅に
暖簾を掲げる日本そば屋は
そばもつまみもレベルが高い。

とりわけ米が旨いから
ご飯モノの人気が高い。
よくもこんな場所に
こんなそば屋がと、
客を驚かせ、歓ばせもする。

店先で信楽焼の狸がお出迎え。
いつもご苦労さん!
頭を撫でてやる。
先客は誰も居なかった。
シゴトの前か後かは
判らずとも以前はソープ嬢を
よく見かけたものだった。

ドライ中瓶に肉じゃがが引率。
じゃが芋・にんじんに
牛肉がそこそこ散見され、
突き出しとして真っ当である。

そば前に天ぷらを
お好みで揚げて貰う。
天ぷら盛合わせや
かき揚げはよく見るが
一つづつ揚げてくれるそば屋は
稀少にして貴重である。

キスとインゲンに
にんじん&ごぼう。
いわゆるキンピラ揚げだ。
硬めのコロモが
多少ガシガシするが
嫌なガシガシ感ではない。

中瓶をお替わりして
何だか腹一杯になってしまい、
そばまで行き着けなくなった。

そば屋に来て、そばを食わぬ、
無粋者はせっかく来たんだから
一っ風呂浴びて帰ろう。
何て、ウッソ~!

「梅月」
 東京都台東区千束4-27-12
 03-3872-7588

2025年10月9日木曜日

第3902話 ぽんと背中を 叩いた人がいる (その2)

北区・中里の町中華「喜楽」。
ビールを飲んでたら
ぽんと背中を叩かれた。
その瞬間、裕次郎が歌い出す。

♪ 久しぶりねとうしろから
  ぽんと背中を叩いた人がいる
  振り向けば懐かしい
  はにかむ様な君がいた 
  あれからどうしていたのかい
  素敵な恋をしたのかい
  そんなに綺麗になって
  別れたこと悔やませる様に ♪  
   (作詞:五輪真弓)

「思い出さがし」は
1983年のリリース。
五輪真弓が裕次郎のために
作詞・作曲を手掛けた曲である。

それはともかく、
背中を叩かれて振り向くと
懐かしいも何もなかった。
見覚えはあるが
いつどこで逢った女(ひと)か
すぐには判らない。

「どこでお逢いしましたっけ?」
「あらぁ、『新ふじ』ですよぉ」
「おう、そうだ、なあんだ!」
池之端の行きつけそば屋、
「新ふじ」のお運びサンだ。
彼女は母親&叔母さんと
3人で食事中とのこと。

ラーメンは昔ながらの中華そば。
好きなタイプだった。
岡山の平喜酒蔵の銘酒、
喜平の冷酒に切り替える。
「喜楽」で平喜の喜平では
北朝鮮の喜び組もビックリだろう。

以来、たびたびおジャマして
カニ炒飯やら酢豚やらを
いただいている。
行くと必ずドライ大瓶と
喜平1合が必飲アイテム。

そば屋のお運びサンとも
これを機会に気心が知れ、
親しくなった。
Mすみチャンが出勤するのは
月曜と金曜なので
自然に合わせるようになる。

ところが「新ふじ」は
行く度に目の回る忙しさ。
言葉を交わすヒマなど
ほとんどないんですわ。

「喜楽」
 東京都北区中里1-8-1
 03-3823-5068

2025年10月8日水曜日

第3901話 ぽんと背中を 叩いた人がいる (その1)

「喜楽」という名の中華料理屋は 
東京にかなりの数があるだろう。
有名なのは渋谷の「喜楽」で
道玄坂のストリップ劇場、
その真ん前に店を開けている。

 J.C.が想いを寄せる「喜楽」は
JR大森駅そばのソレだ。
小学3年生のときに
母親と訪れてから早や65年。
今も心に残っているが
この1月に閉業してしまった。
淋しさだけが心に降り積もる。

それはそれとして本日の主役は
JR駒込駅にほど近い「喜楽」で
地番は北区・中里。
今年の初め、
フラフラ歩いていて遭遇した。
時期が時期だけに
大森の生まれ変わりでは?
と思ったほどである。

しかし行く機会に恵まれない。
というより、いつの間にやら
記憶から抜け落ちた。
初訪問は6月のことだ。

暑い日につき、冷たいそばを
たぐるつもりでいたが
生憎と駒込界隈は
日本そばの佳店に恵まれない。

そのとき記憶の彼方から
よみがえったのが
この「喜楽」というわけだ。
カウンター&テーブルで
30席はあるけれど
コロナの名残りか
客をキツキツに詰め込まない。

数分でカウンターに案内された。
ドライ大瓶を貰い、
冷やし中華のつもりでいたら
隣りのオジさんにソレが着卓。
ゲゲッ! あんなに食えないヨ。

冷たいビールのおかげか、
暑さも収まり、ラーメンの気分。
2杯目のグラスをクイッと
飲み干したときだった。
ぽんと背中を叩いた人がいる。

=つづく=

2025年10月7日火曜日

第3900話 平井の町で 煮込みませんか? (その2)

そうして到着した江戸川区・平井。
総武線のガードを潜り、
南口の平井駅通りへ。
この商店街も好きな道筋である。

商店街を右折して
以前、美味極まりない珍魚、
アブラボウズの煮付けに出逢った、
和食店の前に来るも店名は変わり、
ボウズも品書きになかった。

それではと馬刺しを食べた、
「みちのく」に廻ったら
店は続いているのか、
閉業してしまったのか、
シャッターが降りていた。

はて? どうしたものか?
頭の中の備忘録をパラパラめくる。
思い当たったのが
「煮込みませんか」という、
煮込みメインの食堂兼居酒屋だ。

店から
「煮込みませんか?」
問われても
「煮込むのはアンタだろ!」
返したくなる人を食った店名。
けれど可愛くもあるネ。

平井駅通りとゆりのき橋通りが
交わる角地の1階に店はあった。
カウンターとテーブル合わせて
15席に満たない小体な造りだ。
若夫婦(?)の愛想よろしく、
好印象を持った。

ドライ中ジョッキの泡が
納まるのを待ちながら
品書きに目を通す。
定食メニューは4つ。

もつ煮定食(950円)
鶏ホロ定食(900円)
からあげ定食(950円)
カレーライス(880円)

もう1枚の ”おしながき”
ハーフ&ハーフを発見。
”両方たのしみたい方にオススメ”
ススメられるままに
もつ煮とホロ煮の半々をお願い。
これが単品で550円だ。
麦の酒さえありゃ米の飯を
必要としない J.C.には打ってつけ。

テッポウ(直腸)と思われる
大きめが入ったもつ煮は
もも肉をホロホロに煮込んだ、
ホロ煮よりも美味しい。

生中をお替わりして
2千円余りを支払い、
帰りも同じ路線のバスに乗る。

平井橋で途中下車し、
旧中川水辺公園のあの散歩道を
ゆりのき橋まで歩くつもりだが
隣りにパートナーでもいれば
マッチ・ベターなんですがネ。

「煮込みませんか」
 東京都江戸川区平井4-5-2
 0704-307-8114

2025年10月6日月曜日

第3899話 平井の町で 煮込みませんか? (その1)

行く先を決めずに家を出た。
バスで上野松坂屋へ。
此処からは銀座線・上野広小路、
または大江戸線・上野御徒町で
移動するケースが多い。

バスを降り、ふと隣りを見たら
平井行きのバスが停まっている。
衝動的に乗り込むとほぼ同時に
ドアが閉まり、しゅっぱあ~つ!

バスは浅草、押上を通過して往く。
十間橋通りを経て
中居堀通りを真っ直ぐ北上。
東墨田2丁目で鋭角に右折した。
23区内にここまで
急なターンを余儀なくされる、
バス路線はまずあるまい。
強烈なヘアピンカーブだ。

そのままゆりのき橋通りを
真っ直ぐ南下して往く。
ゆりのき橋を渡らず、
旧中川沿いに右岸を走る。

辺りは旧中川水辺公園だが
車窓からの眺めが素晴らしい。
川のほとりの散歩道としては
都内随一の折り紙を付けたい。

美しくもあり、可愛くもあり、
東京も捨てたものではない。
散歩好きの若いカップルに
ぜひすすめたいスポットだ。
もちろん老夫婦にもネ。

バスは平井橋で旧中川を渡り、
回り道をしながら
ゆりのき橋通りに戻ると
東京と千葉をつなぐ動脈、
蔵前橋通りを横断して
JR平井駅前に到着。
松坂屋前から平井駅まで
きっかり60分の旅だった。

普段は走る中であれやこれやと
立ち寄る店を思い浮かべるが
今回は景色に夢中となって
余裕がありませんでした。

=つづく=

2025年10月3日金曜日

第3898話 日替わりランチは ビーフカツ

自宅最寄りのメトロは
千代田線・千駄木駅。
直線的な路線につき、
わりと遠くへ1本で行ける。

北東は綾瀬までだが
常磐線直通で千葉県・我孫子。
南西は代々木上原ながら
小田急線直通で神奈川県・本厚木。
乗り甲斐のあるラインなのだ。

世田谷区・経堂に降り立った。
本日の目当ては「ウルトラ」。
街で評判の洋食屋である。
到着すると待ち人は1人だけ。
3分と待たずに入店できた。

カウンターに促され、
サッポロ黒ラベルの生中をー。
Lunch Menu が判りやすい。

Aーハンバーグステーキ
Bー豚ロース生姜焼き
Cー白身魚フライ
Dーエビフライ
 ライス・みそ汁付

Dのみ1500円、あとは1200円。
外で並んでるときに見た、
本日の日替わりが
ビーフカツ(1500円)。
久しく食べていないため、
ビーフカツに決めていた。

周りを見ていたら
ハンバーグ+温玉が圧倒的。
あとは白身フライとエビフライで
生姜焼きを通す客はいなかった。

覚悟はしていたが
かなりデカいカツが現れた。
7切れにカットされ、
ド真ん中の1切れだけ、
中身の牛肉が上を向いている。

かき玉仕立ての味噌汁の具は
わかめ&玉ねぎ。
ライスは少なめにとお願い。
レベルの高いビーフカツは
デミグラスも好かったが
奮闘空しく2切れ残した。

ふと思い、接客のオニイさんに
白身の魚種を訊ねると
カラスガレイとの応答。
そうか、そうだったのか、
それを先に知っていたら
カラスにしていたものを。

後悔先に立たず、
耳の奥ででカラスが一声、
カアと鳴きました。

「洋食バル ウルトラ」
 東京都世田谷区経堂1-19-2
 03-6413-9326

2025年10月2日木曜日

第3897話 粉もんは こんなもん

そばとも・Mきより、
「明日、谷根千に行きたいけど
 時間ある?」ーメール到来。
「夕方以降なら」ー応答。
JR日暮里駅の改札まで
迎えにいってやり、
界隈の案内が始まった。

御殿坂を上り、煎餅屋の角を
ちょいと左に折れてラブホテル。
中には入らず、門前を素通りし、
初音小路に来たら奴さん、
あまりのレトロぶりに
感嘆のため息をもらす。

夕焼けだんだんを降り、
谷中銀座を真っ直ぐに
突き当たったよみせ通りを
往ったり来たりする。
落ち着いたのは
「小奈や」なるお好み焼き処。

「もんじゃが食べたい!」
希みの一言を叶えてやった。
日本の女郎衆は粉もんに
目が無いからネ。

お好み焼き屋なんてとこは
女子会なら絵になるが
男同士の飲み会はサマにならない。
第一、そんな場所に集結する輩は
まず仕事の出来ない連中だろう。

掘りごたつ式の板の間に
座布団を敷いて納まる。
生ビールは珍しくもハイネケン。
二人で乾杯のガッチンコ。

最初に通したのは
そばもんじゃと赤海老焼き。
もんじゃを食い慣れてる相方は
手際よく焼き上げてゆく。
ふ~ん、上手いもんだネ。

赤星の中瓶に切り替えて
とんぺい焼きを通した。
粉をまったく使わない、
豚バラ&玉子のオムレツだ。

J.C.はもういい加減に
ヨソへ廻りたかったが
Mきは意に介さずに
お好み焼きのイカ天を追注。
おい、おい、オレたちは
そばともだったハズだぜ。

井原西鶴が言い出した、
とかく女の好むもの
芝居 浄瑠璃 芋蛸南瓜
J.C.はそこにあえて
粉もんも加えてやりたい。

とにもかくにも目の前で
パクパク食ってる相方に
ほとほと呆れつつ、
しょせん男にとっちゃあ、
粉もんはこんなもんかな。
そう思って眺めてやした。

「お好み焼き処 小奈や」
 東京都文京区千駄木3-43-10
 03-3822-2292a blog 

=突然の告示=
Goo blog が終了するようで
ただ今、Ameba blog へ
引っ越しを試みております。
どの程度、時間が掛かるのやら
不明ですが速やかに行えるよう、
努力いたします。
今後とも読んでやって下さい。
   J.C.オカザワ

2025年10月1日水曜日

第3896話 北千住 馴染みの店が もう1軒

来ることの多い北千住を
この日も訪れた。
所用を済ませ、昼飲みのお時間。
ホームグラウンドの「幸楽」に
向かいながら思いとどまる。
たまにはヨソに行こう。

存在を知っていたが未訪だった、
「千住 845」の敷居を跨いだ。
コの字カウンターの両サイドに
テーブル席が配置され、
かなりの大箱である。
コの字に着き、ドライ大瓶をー。

つまみを慎重に吟味する。
朝食が遅かったため、
飲みものは普通にノドを通るが
食べものはストマックの許容量に
限界が生じている。

白羽の矢を立てたのは
馬肉赤身カルパッチョ。
するとコレが予想を上回る逸品。
薄切り馬刺しの上に
クレソン・ラディッキオ・
もってのほか(食用菊)が敷かれ、
上にたっぷりのパルミジャーノ。
イタリアン顔負けの出来映えで
食味も申し分なし。
冷えた菊正の樽酒に切り替えた。

数日後に再訪し、大瓶とともに
おすすめボードの一番目にあった、
秋刀魚刺しの発注に及ぶ。
すると今回もまた予想を上回り、
前回同様、舌鼓をポンポン。

生モノをもう一品いっとこう。
赤貝は切れていたが
ヒモなら用意できると云うので
ソレをお願いする。
こちらは秋刀魚ほどではなく、
まずまずの品質だった。

菊正の樽にスイッチし、
穴子の天ぷらを追注。
水準をクリアして
天つゆの塩梅も好い。

北千住の街に来れば
ほとんど「幸楽」一辺倒。
そこに強力なライバルが出現し、
今後はあっちに行ったり、
こっちに来たりが可能だ。
いずれにしろ馴染みの店が
1軒増えたことは誠に歓ばしい。

「酒と魚 千住 845(ハシゴ)」
 東京都足立区千住2-39
 050-5594-0528