2025年10月24日金曜日

第3913話 亡き母を 大塚で偲ぶ

大塚駅南口の正面にありながら
ウッカリ見落としそうになるほど
目立たぬ店構えのそば屋「岩舟」。

栃木県・小山と群馬県・前橋を
結ぶ両毛線に岩舟駅があるが
日本酒の取り揃えに栃木産が
無いので無関係のようだ。

開店直後の12時過ぎに赴くと
けっこうな客入りである。
カウンターに促され、
ビールの銘柄を訊ねたら
一番苦手なエビスのみ。

おおっと、そうだった!
久々なのですっかり忘れていた。
此処はエビスだけなのだ。
ビールをあきらめ、島根の銘酒、
蛍月の冷たいのをお願いする。

そうしておいて前回同様、
馳走三点盛りである。
たらこ燻製・鯛わた・ほや塩辛・
豆腐よう・いぶり豆腐・莫久来
以上六点から三点択べるので
たらこ・鯛わた・莫久来をー

たらこはごくフツー。
莫久来(ほや&このわた)は美味。
でも一番は鯛わただ。
これは鯛の塩辛、あるいは
酒盗と呼んでもいいだろう。

実は亡き母親の大好物で
小学生の頃はしょっちゅう、
食卓に上っていた。

そのせいか、J.C.は
鰹の酒盗が大の苦手で
イカの塩辛もモノによっては
敬遠するにもかかわらず、
鯛わただけは大好きだ。

もう半世紀以上も
お目に掛かっていないが
鯛の真子の塩辛があった。
母は鯛わた以上に好み、
見つけたら3瓶も4瓶も
まとめて買い込んで来て
父親を呆れさせたものだ。

鯛わたは今も手に入るが
鯛子のほうは知る限り、
新潟・柏崎の田塚屋だけが
製造を続けている。

真っ昼間につき、酒は1合にして
そろそろそばで締めよう。
生桜海老と辛味大根のぶっかけ。
発注しかかって思いとどまった。
ビール無しではいかにも味気ない。

またもや、そば屋に来て
そばを食べぬ無作法をした。
会計は1880円也。
しかれども此処は大塚。
気に入りのそば屋に向かい、
大塚三業通りを南に歩きました。

「岩舟」 
 東京都豊島区南大塚3-53-9
 03-3987-9266