2015年3月3日火曜日

第1046話 天丼はどんぶりの王者 (その4)

だいぶ鎌倉に寄り道してしまったが
文京区・白山の「てんや」に、アイ・ケイム・バック!

天丼チェーンの「てんや」に初めて入ったのは1997年の秋。
長かった海外赴任から帰国した直後だった。
仮住まいから近かった、錦糸町店で天丼を食べた。
駅ビル内をウロウロしていてフラフラと入ったのだ。

食後の感想。
いや、ヒドかったなァ。
油が悪く、胃もたれに悩まされた記憶がある。
海老やキスの質も劣悪、
こんなんでやってイケるのか疑問に思ったことだった。

時は流れて10年後、今度は神保町店に入った。
何のことはない、生ビールの中ジョッキが目当てだ。
近所の雀荘で麻雀を打つまで1時間ほどの余裕があり、
軽く引っ掛けておこうという腹積もり。

酒屋の角打ちじゃあるまいし、
生ビール1杯だけというワケにも参らない。
天丼には懲りているから何か逃げ道を探そうと
メニューをつぶさに拝んでいて天ぷらの単品、
いわゆる”お好み”を揚げてもらえることが判明。
これなら何とかなるぜと即断、穴子とインゲンをお願いしてみる。

ものの5分ほどで揚げ立てが天つゆ&おろしを従えて運ばれた。
穴子が熱そうだったから細長いいんげんをつまむと、
おりょりょ、悪くないんでないかい。
まず、揚げ油に改善のあとが歴然である。
穴子の熱が落ち着くのを待って挑むと、これまた悪くない。
あいや、悪くないというよりも”良い”のだ。

コレは使えるなァと、思わずニンマリしちゃいましたネ。
とりわけ散歩好きのJ.C.、途中でノドが渇いたら
「てんや」の生ビール&天ぷら数点で一息入れることに決めた。
あるいは待合わせまでのキリング・タイムに
実に有効と判断したのであった。
キリング・タイムって何だ! ってか?
時間を殺す、いわゆる時間つぶしであります。

直感的に映画監督・小津安二郎に
食べさせてあげたいと思った早春天丼が出来あがった。
ほ~うっ、けっこうなボリュームだぜ、こりゃ!
かき揚げからは湯気が立ち上っているじゃないの。

どんぶりを彩るのは穴子・海老・れんこん・いんげん。
そして主役格の子持ち白魚のかき揚げである。
すべてが自分好みの天種でうれしい。
箸を取る手に心なしか弾みがついちゃっているもの。

=つづく=