2015年3月11日水曜日

第1052話 月曜はダメよ (その3)

赤羽東口駅前の「まるよし」で二人飲み。
大瓶をお替わりしながらそれぞれの30年を語り合う。
いや、互いのことだけでは終わらない。
共通の友人・知人にも当然のことながら話題ははねる。
アイツはどうした、コイツはどうなったと
ハナシの接ぎ穂はいくらでも見つかってしまうのだ。

ひとしきりしゃべって、どちらからともなくため息がもれた。
おっと、われに返って酒である。
ビールのあとは当方が黒ホッピー、相方はバイスサワー。
読者の中には聞きなれない方も多かろうが
バイスというのはここ数年、
下町の酒場を中心に勢力を拡大してきた酒割り飲料だ。
色は薄紅色、風味は赤じそである。
大田区・大森のコダマ飲料が製造している。

こどもの頃によく噛んだロッテ梅ガムにも似た味わいで
ノスタルジーを刺激するものがある。
T栄サンにとっては初めてのバイスだったが
焼きとんのカシラ同様、いたく気に入ってくれた。

シーズン・メニューのせりおひたしは今日が初日。
いわゆる解禁日だ。
やわらかくて美味しいのにこれもたったの210円、
犯罪的な安さではなかろうか。
還暦のオトコが21歳の娘とつき合ったら
犯罪呼ばわりされても仕方がない。
しからばせりひたしの210円も犯罪じゃないのか。
とまれ、安いに越したことはないやネ。

黒ホッピーとバイスサワーをお替わりしたついでにつまみを追加。
選んだのは当店・名代のキャベ玉とかきフライだ。
キャベ玉というのは単なるキャベツと玉子の油炒め。
ただそれだけのシンプル品なのに素朴な旨さを内包している。
かきフライは例に寄って2個で210円也。
ここの”21シリーズ”は胃袋の収縮した老頭児(ロートル)を
常にやさしく迎えてくれる。

河岸を替えようとオモテに出ると外は雨。
けっこうな降りぶりである。
ちょうど駅前でもあることだし、赤羽の街を徘徊するよりも
電車に乗ったほうが手っ取り早い。

埼京線で池袋方面か、あるいは京浜東北線で上野方面か―。
中高生のころはもっぱら池袋がホーム・グラウンド。
ところがオヤジ世代に足を踏み入れてからは上野がマイ・タウン。
日暮里・上野方面大船行きの電車に乗った二人でありました。

=おしまい=

「まるよし」
 東京都北区赤羽1-2-4
 03-3901-8859