2015年3月16日月曜日

第1055話 なんとなくエスニック (その1)

ここ2週間ほど、東京の街・町をぶらぶらしていてシアワセを感じる。
大好きな沈丁花が季節を迎えており、
散歩の道すがら路傍の生垣からも馥郁たる香りがただよいくるからだ。
何を隠そうJ.C.、この世の花の匂いでは沈丁花が一番好き。

  ♪ あかく咲く花 青い花
   この世に咲く花 数々あれど
   涙にぬれて つぼみのままに
   散るは乙女の 初恋の花  ♪
      (作詞:西條八十)

島倉千代子のデビュー曲、
「この世の花」が列島を風靡したのは1955年。
まだ4歳の誕生日を迎える前だったが
ウチにレコードがあったのでよく覚えている。

この曲がヒットしているさなかに弟が生まれた。
病院の看護婦さんたちがしょっちゅう口ずさんでいたっけ・・・。
年端もゆかないガキがそんなに鮮明に覚えてるわけがないやろ! 
ってか?
へへっ、だって看護婦さんのひざの上で聴いてたんだから間違いないやネ。

とにもかくにも”この世の花”のマイ・ベストは沈丁花。
千代ちゃんの「この世の花」で花は赤く咲いたり、青く咲いたりするが
沈丁花は真っ白か、赤紫と白のツートンカラーの2種類。
それぞれが放つ匂いはまったく同じである。

匂いを脇に置いといてルックスだけなら好きな花は
バラ・桜・コスモス・桔梗・松葉牡丹と数々あれれど、
やはり香りよく、花弁も可憐な沈丁花に如くはなし。

以前、一緒にシゴトをした編集者のF元サンに
沈丁花の香りのハナシをしたら
その香りのする香水を教えてくれた。
意中の人に贈ればよかったかもしれないが、すぐに名前を忘れてしまった。

もっともいくら好きだからって
自分の相方に使う香水までとやかく指図はできない。
そんなことすると、ケンカの種になる可能性のほうが大きい。
第一、ああいうものはオモテで嗅ぐからいいんであって
その匂いをベッドまで持ち込むってのもねェ・・・。
やはり野に置け沈丁花、であろうヨ。

さて、その日は板橋区・仲宿の旧中仙道界隈を散策していた。
ソメイヨシノ発祥の地、染井霊園から
駒込は六義園の脇をすり抜けて千石の町にやってきた。
花は咲けども北風がピューピューと背中に吹きつける寒い夕暮れ。
白山通りを春日・後楽園方面に向けて歩き始めてほどなく、
とあるレストランの店頭に貼られた1枚の写真に足がとまったのである。

=つづく=