2016年5月12日木曜日

第1358話 あの味がよみがえる (その2)

東京プリンスホテルのレストラン「PORTO」。
中庭に面した窓際の席に案内された。
ビールで乾杯を済ませてから料理ボードへ。

ホテルのブッフェは朝食をのぞけば、
ほとんど利用したことがない。
おそらく10年近くも以前、
お台場のホテル日航が最後だったと思う。

そのときはランチだったから
ディナーとなるとパーティー以外はまったく記憶がない。
まず端から端を手ぶらで流す。
何十種類もの品目をすべて食べることなど出来やしないから
こうして好みに合った料理を物色するわけだ。

いったんテーブルに戻り、残りのビールを飲み干し、
お替わりをお願いしてから再びボードへ。
先日、復刻料理フェアのポスターを見た際に
ホテルズ・サジェッションの4品は
しっかりと記憶にとどめておいた。

いま一度振り返ると、

① 金目鯛の煮付け
② 牛肉の赤ワイン煮
③ 小海老のチリソース
④ ベイクド・アラスカ

ということになる。

でも、いきなりオススメには疾らない。
物事には順序というものがある。
ましてや多種多彩な料理の山を目の前にしたら
自分なりのコースを組み立てねばならない。

マジシャン・マギー司郎による、
サントリー・グルコサミンのTVコマーシャルじゃないが
そうでもしないと、まことに”もったいない”。

ブッフェ慣れしていない日本人が犯しやすい過ちは
なんでんかんでん一皿に盛込み過ぎること。
ヒドいケースになると、冷菜・温菜が呉越同舟状態。
これは明らかなマナー違反でみっともないことこのうえない。

われわれが最初に選んだのは
小海老のカクテルとフォワグラのムースだ。
あっさりと軽やかにスタート
かつてこのシュリンプ・カクテルと
たらば蟹のクラブミート・カクテルは
輝ける前菜の両雄だったが蟹のほうは高騰してしまい、
いつの間にか表舞台から姿を消した。

=つづく=