2026年4月13日月曜日

第4043話 鰻で始め 鰯で締める

尾山台で乗った電車を
降りたのは終点の大井町だった。
おそらく品川区内で
最も頻繁に訪れるのはこの街だ。

と云っても通常は
戦後のヤミ市の匂いを残す、
平和と東の両小路、
その界隈での飲み食いに終始する。

この日は小路の入口を素通りし、
桜並木越しに車両センターに並ぶ、
電車を見下ろしながら崖上を
北に向かってしばらく歩いた。

潜った暖簾は「だるまや」。
鰯料理専門店である。
鰻で幕を開けた日を
鰯で締めくくる。
われながらオツなものだ。
ひとりゴチてカウンターに横並ぶ。

切盛りは店主と女将の二人体制。
大瓶のドライに頬がゆるんだ。
大瓶が出てくると
「サァ、飲むゾ!」
気持ちに拍車がかかる気がする。
まずは定番の刺身を通す。

N子が女将に話し掛ける。
「松重サンは何を
 召し上がったんですか?」
一瞬、ポカンとした J.C.、
すぐに気が付いた。
「孤独のグルメ」に
登場した店なんだ。

女将応えて
「刺身とユッケとチーズロール!」
相方は
「わたしたちにもユッケと
 チーズロールお願いしますっ!」

18時を過ぎると立て混んで来て
入店を断られる客も出て来る始末。
相方は大瓶を続飲。
当方は菊正生貯蔵酒の冷たいの。
スッキリ飲んで
後続に席を譲ることにした。

鰯で締めるつもりだったが
そうはならなかった。
短い滞空時間も影響していよう。
大井町から乗った京浜東北線を
降りたのは地元に近い日暮里駅。
彼女と一緒だとこのところ、
急速に出没率の高まる街になった。

焼けくそだんだん「夕焼け酒場」に
到着したが毎度この店ってのもなァ。
向かいの「のみくいや ぽちゃ」に
初めて入り、此処でもカウンター。
ドライ中瓶を注ぎ合い、カチン。
健啖家の相方は揚げ茄子を所望。

J.C.の隣りに和服姿の
可愛いお婆ちゃんが着席。
どちらからともなく言葉を交わす。
訊けば、Hみチャンは常連サン。
飲み屋ではよくあることながら
盛り上がってしまい、気付いたら
本日も残すところ15分でした。

「だるまや」
 東京都品川区南品川6-11-28
 03-3450-8858

「のみくいや ぽちゃ」
 東京都荒川区西日暮里3-14-13
 03-6826-2916