東中野から向かったのは新井薬師前。
近くにある新井山梅照院薬王寺の通り名が
そのまま西武新宿線の駅名にもなっている。
しばし境内にたたずんで沿線沿いに歩く。
沼袋・野方・都立家政・鷺宮を経て下井草に―。
過去に一度散策したが、この町で飲んだことはなく
今宵のファースト・ターゲットだった。
線路の両側を流したものの、まだ16 時過ぎで
チェーン以外に開いてる店が少ない。
博多ラーメンと大型大衆鮨店くらいのものだ。
下井草で1杯飲りたかったんだがなァ。
仕方なく先に進んで隣り駅の井荻へ。
ちょうど1年前、中国料理の「維摩(ゆいま)」で
晩めしを食べたのが初訪問、今回は二度目だ。
下井草より活気があって止まり木はすぐに見つかった。
西武線沿線に何軒かある「やきとり にしだ屋」は
店頭販売もしており、買い物の主婦が三々五々やって来る。
先客一人のカウンターに落ち着いた。
毎度のことながらノドを鳴らしてジョッキを傾ける。
好みのスーパードライは泡薄めでドンピシャだ。
塩で通した白レバーとハツモトは水準をクリア。
目先を変えるつもりの、かきベーコン・ガーリックオイルは
粉チーズもタップリと、舌先にまで変化をもたらす。
価格帯は150~200円、平均的だろう。
2杯目の中ジョッキに焼き鳥ではなく焼きとんを1本。
“もつ鍋に入ってるアレです”と但し書きがあり、
タレで頼んだシロコロだったが脂身の付きはともかくも
ホルモンの下茹で不十分、ずっと口内にとどまったままだ。
どうにも噛み切れず、悪戦苦闘に目がシロコロ。
じゃなかった白黒、最後にエイヤッ!と飲み込んだ。
なおも沿線を西下して上井草の町。
西荻から善福寺公園経由で訪れたのはもう一昔前になる。
夜の帳がすっかり落ちた商店街の片隅、
「やきとん
だるま」のやはりカウンターに陣を取る。
ここも高円寺や西荻に展開しているチェーン予備軍。
場末(失礼!)で個人経営の佳店を発掘するのは至難だ。
とにかく歩いたから体内へのガス注入は未だ満タンにほど遠い。
速攻で黒ラベルの生中を発注。
串はみな70円と都内でも最安値圏の位置取りである。
カシラとハツを塩、レバーをタレでお願いした。
いや、赤身と脂身が入り混じったカシラの硬いこと。
「にしだ屋」のシロコロとは
異なるタイプの難敵に再び苦戦を強いられる。
ハツとレバーはどうにかなったが値段が値段だから
素材の質に限界があるし、下処理も大ざっぱだ。
ジョッキのお替わりとハムカツを1枚いただき、早めのお勘定。
当たり外れはあろうとも、知らない町での晩酌はまた楽しき哉。
夜の商店街を往ったり来たりして、帰りの電車に乗り込みました。
「やきとり
にしだ屋 井荻店」
東京都杉並区上井草1-30-17
03-6913-7828
「やきとん
だるま 上井草」
東京都杉並区上井草3-32-6
03-6913-6230