2020年11月18日水曜日

第2527話 グリーンピースに誘われて

東京スカイツリーラインで北千住の一つ先は小菅。

日産の元会長や内閣の前法相が

出たり入ったりしている東京拘置所のおひざ元だ。

 

あれは四月の始め。

東京に緊急事態宣言が出される直前だった。

小菅駅近くの日本そば屋にて

おかめそばをつまみ代わりにビールを飲んだ。

その後、拘置所のもう一つ向こうの五反野へ歩いた。

 

駅前の居酒屋「幸楽」で女将に声掛けされたが

腹いっぱいで辞去したのだった。

この店は好きである。

常に独り飲みで長居はしないけれど、妙に落ち着く。

年配カップルが多く、ガキが居ないせいだろうか―。

しばらくぶりに行ってみよう。

 

改札を出ると、目の前に肉まんを商う「正華」がある。

昔から存在を認知していたものの、利用したことはない。

いつも気にとめずに通り過ぎるのだが

この日は何気なしにサンプルケースをのぞいた。

 

おや、焼売にグリーンピースがチョコン。

子どもの頃、どの町のどの肉屋でも売られていた焼売は

最近、パッタリ姿を見せなくなった。

懐かしさに誘われて立ち寄りを決断する。

 

アサヒの大瓶と一緒に即発注。

繊切りキャベツ、練り辛子を従えた5カン付けを

そのまま1個、酢醤油とウスターソースで2個づつ。

肉々しさがなく、粉々しさの際立つ焼売は

特段、旨いわけではないけれど、

大瓶1本の相棒にはちょうどよい。

 

店頭でまんじゅうを売るからには

本格的な中国料理店と思いきや、

実状は麺・飯類主体の町中華だった。

ただし、饅類の品揃えも豊富だ。

鰻(うなぎ)じゃないヨ、饅頭のことだヨ。

肉まん、あんまんはもとより、辛味肉まん、角煮まんがある。

 

壁の品札を眺めて妙なことに気づいた。

海老そばは判るが、海老炒めそばと海老あげそばって何だ?

肉そば、五目そばにも炒め&あげヴァージョンがあった。

あげは当然、揚げのことだから

海老あげそばは中華版天ぷらそばかいな?

 

どうにも気になって会計時、小姐に訊ねると、

何のこたあない焼きそばだった。

そんなら海老焼きそば、海老かた焼きそばが

正しい表記なんじゃないのかい? 

まあ、いいけどサ。

 

「正華」

 東京都足立区弘道1-1-18

 03-3886-3969