2020年11月2日月曜日

第2515話 「満留賀」から「マルハ」へ

浅草橋から努めてゆっくり歩いた。

日本で二番目に古い商店街、

佐竹商店街のアーケードを抜けて御徒町に到着。

アメ横のはずれながら、それなりの活気に満ちている。

 

遠来ののみともが指定したのは

アメ横一の繁盛店「D」だったが

あすこはワイガヤに過ぎるゆえ却下し、

誘い込んだのは駅そばの「北海道マルハ酒場 御徒町一号店」。

ハハ、マルカからマルハに移動したわけだ。

 

近所のガード下に2号店があり、

こちらは何度かランチのお世話になった。

道産のふらの豚、もち豚、美彩牛のどんぶりが美味しい。

値段は牛丼チェーンの倍以上するが割高感はなく、

むしろ、お食べ得な印象がある。

 

黒ラベルの中ジョッキを合わせて

道産・北寄貝刺身を通すと接客のオッサンが

3点盛りにしろってんで、気はすすまずとも従った。

北寄、水だこ、かんぱちのトリオだが

各自、北寄を一個づつのほうがよかった。

 

相方はジンギスカンが食いたいと言う。

こちらは北海道を謳っておらず、

オージーかニュージーだろう。

ポーションは小さいらしいが取りあえず1人前お願い。

そして前述の豚&牛の焼肉3点盛り、お試しサイズも―。

すべてのどんぶりを食したJ.C.はふらの豚が一番好き。

 

中生を2杯飲んで芋焼酎に切り替える。

黒ラベルから黒霧島へネ。

相方お湯割り、当方ロックだ。

 

グラスの氷がカラコロと耳に快い。

すると今度はエイヒレを所望するじゃないか―。

突然、悪夢がよみがえった。

 

あれは一作年の初夏。

二人して葛飾区・四ツ木の酒場で飲んだ折、

よせばいいのに奴さん、くさやを注文しやがった。

あわてて止めに入ったけれど、聞く耳を持たなかったネ。

家で女房に禁じられてるから、外で食うしかないんだと―。

「誰だい、くさやなんか頼んだ奴は?」

案の定、よその卓から非難の声があがったのでした。

 

ところが、ところがですヨ、このエイヒレが大ヒット。

茶色く乾いてないの、しっとり艶やかで色白なの。

ドライじゃなくてウェットなんだ。

七輪で軽く炙って口元に運べば、美味いのなんのっ!

くさやの悪夢は雲散霧消して空晴れ渡り、

オッサン二人は満面の笑みときたもんだ。

 

「オジさ~ん、黒霧お替わりねェ!」

オッサンとは呼べないけれど、

オッサンに叫ぶこちとらもオッサンでした。

 

「北海道マルハ酒場 御徒町一号店」

東京都台東区上野5-25-8

050-5590-7402