浅草橋から努めてゆっくり歩いた。
日本で二番目に古い商店街、
佐竹商店街のアーケードを抜けて御徒町に到着。
アメ横のはずれながら、それなりの活気に満ちている。
遠来ののみともが指定したのは
アメ横一の繁盛店「D」だったが
あすこはワイガヤに過ぎるゆえ却下し、
誘い込んだのは駅そばの「北海道マルハ酒場
御徒町一号店」。
ハハ、マルカからマルハに移動したわけだ。
近所のガード下に2号店があり、
こちらは何度かランチのお世話になった。
道産のふらの豚、もち豚、美彩牛のどんぶりが美味しい。
値段は牛丼チェーンの倍以上するが割高感はなく、
むしろ、お食べ得な印象がある。
黒ラベルの中ジョッキを合わせて
道産・北寄貝刺身を通すと接客のオッサンが
3点盛りにしろってんで、気はすすまずとも従った。
北寄、水だこ、かんぱちのトリオだが
各自、北寄を一個づつのほうがよかった。
相方はジンギスカンが食いたいと言う。
こちらは北海道を謳っておらず、
オージーかニュージーだろう。
ポーションは小さいらしいが取りあえず1人前お願い。
そして前述の豚&牛の焼肉3点盛り、お試しサイズも―。
すべてのどんぶりを食したJ.C.はふらの豚が一番好き。
中生を2杯飲んで芋焼酎に切り替える。
黒ラベルから黒霧島へネ。
相方お湯割り、当方ロックだ。
グラスの氷がカラコロと耳に快い。
すると今度はエイヒレを所望するじゃないか―。
突然、悪夢がよみがえった。
あれは一作年の初夏。
二人して葛飾区・四ツ木の酒場で飲んだ折、
よせばいいのに奴さん、くさやを注文しやがった。
あわてて止めに入ったけれど、聞く耳を持たなかったネ。
家で女房に禁じられてるから、外で食うしかないんだと―。
「誰だい、くさやなんか頼んだ奴は?」
案の定、よその卓から非難の声があがったのでした。
ところが、ところがですヨ、このエイヒレが大ヒット。
茶色く乾いてないの、しっとり艶やかで色白なの。
ドライじゃなくてウェットなんだ。
七輪で軽く炙って口元に運べば、美味いのなんのっ!
くさやの悪夢は雲散霧消して空晴れ渡り、
オッサン二人は満面の笑みときたもんだ。
「オジさ~ん、黒霧お替わりねェ!」
オッサンとは呼べないけれど、
オッサンに叫ぶこちとらもオッサンでした。
「北海道マルハ酒場
御徒町一号店」
東京都台東区上野5-25-8
050-5590-7402