サブタイトルを見て、そうお思いの読者もおられましょう。
世に3人揃って語り合うことを鼎談(ていだん)という。
もともと鼎(かなえ)は古代中国の三足鍋、あるいは三足器。
いわゆるトライポッド・ヴェッセルのことでキーナンバーは3。
今回、決行したのは3人談話の食事版、鼎食でありました。
コロナ到来以降、外出自粛はしなかったが人混みは避けてきた。
2人の対食も控えてきたし、3人の鼎食は実に2月初旬以来だ。
御徒町は松坂屋裏の「ワインバル
八十郎」に集結。
多店舗展開するチェーンだが友人・知人の評判もよく、
初めて利用してみた次第なり。
ひょんなことで2人ののみとも、熟女Aと半熟女Bを引き合わせ、
鼎食というか、鼎飲に及んだわけである。
従ってA&Bは初対面、こういうケースはわりかし珍しい。
ビールで下地を作ってきたため、いきなりの赤ワインは
ブルゴーニュのピノ・ノワール、レニャー‘18。
スターターのつまみを3皿とった。
生いちじく&ブッラータチーズ
生ハム&ルッコラ・セルヴァチコのサラダ
長崎・五島産カサゴのカルパッチョ
ブッラータは生クリームを蓄えたモッツァレッラ。
セルヴァチコは野生種のルッコラだ。
いずれもなかなかの水準で殊によかったのが
五島列島のどこかでつかまったカサゴくん。
やはりカルパッチョは白身魚が望ましい。
真っ当なリストランテでさえ、
仕入れ値の安い青背にはしるのが昨今の悲しい現実。
よくぞカサゴを使ってくれたものよのぉ。
温かい料理もということでフリコを―。
フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州の郷土料理だ。
イタリア北東部の自治州の州都はトリエステ。
この街にはほろ苦い思い出がある。
長くなるから省くが東隣りのスロベニアの首都、
リュブリャナからヴェネツィアに移動する際、
列車をミスッてしまい、タクシーで国境を越える破目に―。
まっ、おかげでチャーチルの鉄のカーテン演説で知られる、
トリエステを訪れることができたんだがネ。
ヴェルディ歌劇場も建物だけは見て来た。
じゃが芋とチーズを使った素朴なフリコはまずまず。
締めはスペイン版酢豚ともいえる豚バラ肉シェリー酒煮。
ワインのボトルはカラになり、
白が飲みたくなってロックブルック ピノ・グリージョを―。
熟も半熟も玉子たちはそれなりに楽しんだ様子。
女同士の会話には、なるべくくちばしを容れるのを控えた。
っていうか、ほとんど聞いちゃいなかった。
こういうシチュエーションでは
放し飼いにするのが最良の飼育法だからネ。
それでは二次会へ。
「御徒町 ワインバル 八十郎」
東京都台東区上野3-22-3
03-6240-1286