2020年11月4日水曜日

第2517話 鼎食を解禁す

 いったい何のこっちゃ?

サブタイトルを見て、そうお思いの読者もおられましょう。

世に3人揃って語り合うことを鼎談(ていだん)という。

もともと鼎(かなえ)は古代中国の三足鍋、あるいは三足器。

いわゆるトライポッド・ヴェッセルのことでキーナンバーは3。

 

今回、決行したのは3人談話の食事版、鼎食でありました。

コロナ到来以降、外出自粛はしなかったが人混みは避けてきた。

2人の対食も控えてきたし、3人の鼎食は実に2月初旬以来だ。

 

御徒町は松坂屋裏の「ワインバル 八十郎」に集結。

多店舗展開するチェーンだが友人・知人の評判もよく、

初めて利用してみた次第なり。

ひょんなことで2人ののみとも、熟女Aと半熟女Bを引き合わせ、

鼎食というか、鼎飲に及んだわけである。

従ってA&Bは初対面、こういうケースはわりかし珍しい。

 

ビールで下地を作ってきたため、いきなりの赤ワインは

ブルゴーニュのピノ・ノワール、レニャー‘18

スターターのつまみを3皿とった。

 

生いちじく&ブッラータチーズ

生ハム&ルッコラ・セルヴァチコのサラダ

長崎・五島産カサゴのカルパッチョ

 

ブッラータは生クリームを蓄えたモッツァレッラ。

セルヴァチコは野生種のルッコラだ。

いずれもなかなかの水準で殊によかったのが

五島列島のどこかでつかまったカサゴくん。

 

やはりカルパッチョは白身魚が望ましい。

真っ当なリストランテでさえ、

仕入れ値の安い青背にはしるのが昨今の悲しい現実。

よくぞカサゴを使ってくれたものよのぉ。

 

温かい料理もということでフリコを―。

フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州の郷土料理だ。

イタリア北東部の自治州の州都はトリエステ。

この街にはほろ苦い思い出がある。

 

長くなるから省くが東隣りのスロベニアの首都、

リュブリャナからヴェネツィアに移動する際、

列車をミスッてしまい、タクシーで国境を越える破目に―。

まっ、おかげでチャーチルの鉄のカーテン演説で知られる、

トリエステを訪れることができたんだがネ。

ヴェルディ歌劇場も建物だけは見て来た。

 

じゃが芋とチーズを使った素朴なフリコはまずまず。

締めはスペイン版酢豚ともいえる豚バラ肉シェリー酒煮。

ワインのボトルはカラになり、

白が飲みたくなってロックブルック ピノ・グリージョを―。

 

熟も半熟も玉子たちはそれなりに楽しんだ様子。

女同士の会話には、なるべくくちばしを容れるのを控えた。

っていうか、ほとんど聞いちゃいなかった。

こういうシチュエーションでは

放し飼いにするのが最良の飼育法だからネ。

それでは二次会へ。

 

「御徒町 ワインバル 八十郎」

 東京都台東区上野3-22-3

 03-6240-1286