2021年1月12日火曜日

第2566話 蟹が消えてて 海老ピラフ

この日は北区・北赤羽に用事があった。

昼過ぎに解放されてランチタイム。

まっ、早仕掛けで飲んでもいいんだけどネ。

駅周辺に目ぼしい店は見当たらず、

ビッグタウンの赤羽まで一駅歩くことにした。

 

途中、環状八号線を横断。

いわゆる環八通りは羽田と赤羽の間を

文字通り、羽が生えたが如くに走っている。

ちなみに環状七号線は品川区・城南島の東京港野鳥公園から

江戸川区・葛西臨海公園の鳥類園ウォッチングセンターへ、

野鳥が飛翔する如くに渡っている。

 

こういうのって単なる偶然だろうか?

清張センセイの「点と線」じゃないけれど、

何か、作為の匂いを感じてしまう。

 

2ヶ月前に1000cc の酎ハイを飲んだ「まるます家」に到着。

席さえあれば此処でOKだが、けっこうな混み様だ。

密を避けてヨソへ廻るしかないな。

 

ひらめいたのは昔ながらの喫茶店を自ら謳う、

「友路有(トゥモロー)」、この店はなかなか使える。

赤羽に2店、浅草と日暮里に1店づつの計4軒。

馴染みの深いエリアばかりにあるのが気に染まる。

 

階段をトントン上がって2階へ。

狭いスペースに客入りは8割ほどだ。

当店のスペシャリテ、ミートソースが気に入りだけど、

今日は蟹ピラフにしようと、歩きながら決めていた。

 

ん? 蟹がいないじゃないか―。

ついでにミートソースもメニューから消えている。

ここの蟹はズワイガニ使用で原価率が高いし、

ミートソースは仕込みが厄介だからネ。

 

消去法で残った海老ピラフをビール小瓶とのセットでお願い。

コーヒー・紅茶だけでなく、

ビール・ハイボールとの組合わせも一律320円。

喫茶店としては実にユニーク、なおかつありがたい。

 

ピラフは喫茶店のレベル以上。

コンソメと和風だしを合わせたようなスープ、

醤油ドレッシングの小サラダはともに、ちょいとおざなり。

 

食後、コーヒーを追加する。

しばらくしてウエイトレスが卓上の伝票を持ち去った。

彼女、持ち返ってひと言。

「少しお安くしておきました」

「エッ、ハイ、どうも」

書き換え前にいくらだったか知らないが

伝票をめくったらコーヒーは0円になっていた。

 

ビールセットがあるだけでもうれしいのに

こんなサービスまでしてもらって

この丑年はいい年になりそうだ。

思わず笑いがこぼれちゃったヨ、ウシシ!

 

「友路有 赤羽本店」

 東京都北区赤羽1-1-5大竹ビル2F

 03-3903-5577