終日、予定のない日の朝。
スペアミントの葉を放り込んだ熱い紅茶をすすりながら
今日は何処に出没しようかな? ぼんやりと考えていた。
向かったのは江東区・豊洲、十数年はご無沙汰している。
東京メトロ有楽町線・豊洲駅前の交差点に立った。
十文字ではなく、X字状に大通りが交差しているため、
マンハッタンみたいに各コーナーをノースイーストだの、
サウスウエストだのと呼ばずに済む。
北から時計回りに
ノース・イースト・サウス・ウエストの4ブロック。
見回すと高層ビルだらけだが
唯一、東ブロックの内側が昭和の名残りをとどめている。
この景観は都営豊洲四アパートによるところが大きい。
南に位置するシエルタワー1階の「万福食堂
駅前店」へ。
以前はこの近くに本店があったが
2003年末のシエルタワー着工と同時に東に移転。
その本店も老朽化したビルの建て替えで2019年末に閉店した。
J.C.が南ブロック時代の本店を訪れたのは2001年とその翌年。
今回は19年ぶりだ。
ドライの大瓶を飲みながらメニューの吟味。
焼き餃子と皿うどんが人気ながら
普段、あまり口にしない料理でいくつもりだった。
最終候補は、エビマヨネーズとハーフサイズの肉だんご。
希少度を鑑みて肉だんごにした。
独りのとき、いや、二人でもめったに通さぬ料理だからネ。
到着までゆうに20分はかかった。
甘酢あんヒタヒタの海に5個のだんごが浮かび、
白髪ねぎと貝割れをかぶっている。
ガリッと揚がった輪郭が歯に逆らうが
噛み締めているうち、滋味も湧き出てきてなかなかに旨し。
これからヨソへ廻るので余力を残しておきたい。
大瓶1本に肉だんごハーフだけで切り上げた。
勘定は1450円也。
豊洲の魚河岸をのぞいてみようとも思ったが
距離があるうえに、この日は風が強かった。
おちおち目を開けていられない。
わざわざゆりかもめに揺られるのも何だしなァ。
せっかくだから昭和の匂いを嗅いでいこう。
東ブロックの豊洲四丁目に足を踏み入れた。
昭和も昭和、喫茶「Pコック」のたたずまいがいいねェ。
四丁目第二公園で出会った小学生と思しき女の子二人。
強風の中でブランコに立ち、ビュンビュンと漕いでいる。
“子どもは風の子”とは、実に言いえて妙ですなァ。
「万福食堂
駅前店」
東京都江東区豊洲5-5-1豊洲シエルタワー1F
03-3536-0129