地下鉄でどこかに移動するつもりだ。
東京メトロ9線、都営地下鉄4線の全13線。
このうち、もっとも利用する機会が多いのはメトロ千代田線。
逆に少ないのが同じくメトロの有楽町線と副都心線。
有楽町線で乗り換えなし、行き着けるところへ行こう。
あれこれ迷った末、下車したのは飯田橋。
改札を出て階段を上れば神楽坂下。
傍らの「不二家」では唯一、ペコちゃん焼きが買える。
上野・浅草ほどではないにせよ、
昼飲みがじゅうぶん可能な神楽坂。
昼といっても時刻は16時、気の早い店が暖簾を出す時間だ。
ターゲットは焼き鳥が自慢の「駒安」。
一昨年の4月、のみとも・B千チャンと酌交して以来になる。
当店の背肝とハツモトは大好き、ただし、開店が17時半と遅い。
このご時世だから早めに開けて早めに閉めることもあり得る。
坂の上下・左右をあちこちさまよい歩き、
かっきり1時間費やして「駒安」をのぞいたものの、
早開けの気配はまるでナシ。
あと30分も寒風の中で待つのはツラいから
前回もB千チャンと流れた「三州屋 飯田橋店」へ。
基本的に「三州屋」のビールはサッポロ(蒲田本店はキリン)、
清酒は白鶴だが此処にはスーパードライもある。
黒ラベルで満足ながら、せっかくなのでドライの大瓶を。
突き出しの厚揚げ煮は生姜が利いている。
壁の品書きを熟読し、かき豆腐(650円)を通した。
「三州屋」各店は、とり豆腐が名物、いや、名代といってよい。
でも、この時期はやっぱオイスターでしょ。
照明の明るい店内に口の達者な女将の声が響き渡る。
まあよく喋ること、しゃべること、まっ、いいけどサ。
デッカいドンブリ鉢のかき豆腐はスッゴいボリューム。
年を越え、プックリ太ったのが4粒。
木綿のハンカチー、じゃなかった、木綿の豆腐もいっぱい。
春菊と、出汁こぶまでそのまま残されていた。
ちり酢が要らないほどに、つゆの味が滲みている。
すかさず白鶴辛口の二合徳利を熱めでお願いした。
抜群の相性が生み出す美味さに、しばし陶然となる。
追いかけるように、八代亜紀の歌声が聴こえてきた。
♪ お酒は熱めの 燗がいい
肴は煮られた カキでいい
女は達者な 口がいい
灯りは明るく 照らしゃいい ♪
おあとがよろしいようで―。
「三州屋
飯田橋店」
東京都新宿区下宮此町1-7
03-3267-2465