めっきり人出の減った谷中銀座を抜け、
夕焼けだんだんを上がり、日暮里駅に到着。
例によって、この日も行く先が決まっていない。
JRなら山手・京浜東北・常磐の各線。
ほかに京成本線、日暮里・舎人ラーナーと選択肢は広い。
改札を入る前、残り少ないスイカにチャージしていて
不意に気が変わった、そうだ、バスにしよう。
日暮里からバスに乗ったことがなく、
何処へ行くか判らんけど、3路線くらいあったかな?
谷側のロータリーにエスカレーターを降りる。
最寄りのバスストップは見沼代親水公園行き。
さすがにこれはダメだ、遠すぎる。
すると、目の前に小走りのオネエさん一人。
広場中央に停車中のバスへまっしぐらだ。
てことはこのバス、間もなく発車するバス、もとい、するハズ。
誘われるように彼女に続くと、錦糸町行きだった。
ガラガラのバスの最後部に座ったら、すぐに発車オーライ!
下谷―竜泉―奥浅草―スカイツリーと経由する路線だ。
あまり考えずに奥浅草で降車し、観音裏を歩く。
21世紀初め、自分の縄張りだったエリアは驚くほどに様変わり。
行きつけた店もほとんど残っていない。
小料理屋「おかめ」、お好み焼き「立花」くらいだ。
言問通りを横断し、浅草最古のアーケード、ひさご通りを進む。
朝食が遅かったため、空腹感はない。
腹は減らずともノドは渇く。
年の瀬、池袋でも利用した「ほていちゃん」に吸い込まれた。
10% off の立ち飲みコーナーで黒ラベルの中ジョッキを通す。
此処には珍しくも江戸前の穴子刺しがある。
小姐に所望すると、刺身用の穴子がずっと入荷しておらず、
一本焼きか天ぷらなら出来ると言うので一本焼きを―。
注文を受けた彼女、奥の厨房に走った。
新年早々、走るオンナが多いなァ。
すると、右隣りで酎ハイを飲んでたオニイさんが
「天ぷらって言ってますヨ」
「えっ、あっ、こりゃどうも。お~い、焼きだヨ、焼きっ!
揚げ物は食べたくなかったんで、助かりました」
「いいえ、良かった」
煮つめ、粉山椒、おろしを添えた江戸前の焼き穴子。
ナリは小さいが味はとてもよい。
中ジョッキをお替わりして、エンコの街に飛び出した。
まだ昼下がりで、表題みたいにたそがれてないんだけど、
物事には弾みってもんがありやすからネ、レイシツ!
「ほていちゃん
浅草店」
東京都台東区浅草2-15-2
03-6802-7780