中央通りと江戸通りがクロスする、
千代田区・室町3丁目交差点そばに
リーマン時代のオフィスがあった。
日本初の地下鉄、銀座線の神田と三越前の中間辺りだ。
ほとんど毎日、近隣で昼めしを食べていたが
日本そば屋のひいきは
神田に近い「室町砂場」と三越前の「利久庵」。
前者では常にそば、後者は十中八九、定食だった。
「砂場」には、しるこ・ぜんざいまであるのに
ごはん物が一切ないからねェ。
「利久庵」の定食が恋しくなり、久方ぶりの訪問。
地上3階、地下1階、計4フロアの大型店は
先日訪れた銀座「煉瓦亭」とまったく同じ造りで
下2フロアがそば、上2フロアは定食に絞っての提供だ。
よって階上ではそば屋なのにそばが食えない。
定食のラインナップは
利久、刺身、焼き魚、豚肉味噌焼き、天ぷらの5種。
2000円の天ぷら以外も一律1300円と少々お高い。
利久は生玉子付きの牛鍋。
この日の刺身はまぐろ。
焼き魚は鮭、さんま、さわら、はまち。
サイドオーダーの冷奴・納豆・ポテサラはオール230円。
J.C.は焼き魚か豚肉味噌焼きが多く
たまに利久だが一番の気に入りは豚味噌。
久々につき、この日は迷わずソレにした。
定食自体にボリュームがあるため、
サイドに手をのばしたことはない。
おっと、ドライの大瓶も忘れずにお願い。
リーマン時代の昼めしで果たせなかったぜいたくがコレだ。
立派なサイズの豚ロースにたっぷりのポテサラとレタス。
別添えの和風ごまドレッシングはレタス用だろう。
オニオンが決め手のポテサラは主役を的確にアシストする。
デザート代わり、4分の1カットのみかんはわが身に不要。
小鉢のおかひじき&なめこの和え物はコリアン風の味付け。
香の物はきゅうりの浅漬け&ひねたくあんである。
味噌椀の具がユニークな豆腐・焼き麩・海苔。
この海苔は黒ばら海苔でいわゆる岩海苔だが
香り、歯ざわりに秀でており、有明海産に相違あるまい。
完食し、非の打ち所ナシと言いたいところながら
小鉢と新香のきゅうりがヤケにしょっぱい。
加えてごはん少なめを告げ忘れ、
ストマックに無理を強いる破目に陥った。
最初にサーヴされた緑茶は手つかずなれど、
箸を置くのと同時に
接客のオネエさんが熱々と差し替えてくれる。
目配り、気働きに寸分の狂いなく、優良店はあの日のまま。
したがってユーミンみたいに
「あの日に帰りたい」とは少しも思いませんでした。
「利久庵」
東京都中央区室町1-12-16
03-3241-4006