都立大学駅北口行きバスの時刻表を確かめ、
かつての果物屋「成城石井 成城店」の前にたたずむと
流れてきたのは
♪ 終電時刻を確かめて あなたは私と駅を出た
角のフルーツショップだけが 灯りともす夜更けに
商店街を通り抜け 踏切渡った時だわね
待っていますとつぶやいたら 突然抱いてくれたわ
あとからあとから涙あふれて 後ろ姿さえ見えなかったの
池上線」が走る町に あなたは二度と来ないのね
池上線に揺られながら 今日も返る私なの ♪
(作詞 :佐藤順英)
野口五郎の「私鉄沿線」(1975年)にインスパイアーされて
西島三重子が翌年リリースした「池上線」。
彼女の曲は年末に「千登勢橋」を紹介したばかりだが
アレはアレ、コレはコレ、いっちゃいました。
ところで最近、気づいたことに
彼女の「千登勢橋」、正しくは千登世橋。
おそらく三重子サン、勘違いしたまま譜面になって
世に出てしまったものと思われる。
まっ、大した問題じゃないから、いいんでないかい。
それはそれとして1号店に来たから何か買って帰ろう。
マレーシア産ビリヤニソース(290円)を購入した。
週末に骨付き鶏肉とバスマティライスを炊いて
チキンビリヤニを作ってみよう。
(結果を先取りして報告すると、なかなかのデキでした)
14時前発のバスに乗った。
東宝前でバカデカいゴジラの壁画に脅かされたり、
砧公園の公園橋で東名高速を渡ったりして桜新町に到着。
目抜き通りを流しながら、昼めし処を物色し始めた。
この町は芝、城南など信用金庫が多い。
大東京信用組合なんて聞きなれない金融機関まであった。
その信組のそばに「紅蜥蜴(とかげ)」なる餃子房を発見。
しかし、スゴい名前を付けるもんだねェ。
新橋の「紅蠍(さそり)」、高円寺の「七面鳥」と合わせ、
東京三大凄名(すごな)中華とでもしておこうか―。
名前につられて足を踏み入れると
狭い入口の先はまさしく鰻の寝床。
客がゼロなのに2階へ促された。
先客は女性二人連れが三組、若いリーマン一人。
サービス担当はオネバさん独りだけ。
ビールの銘柄を訊ねたら
「キリンの生ビールに、瓶が青島(チンタオ)です」
「キリンは一番搾り? ラガー?」
「えっ、ええ~っと、私にはちょっと・・・」
「判んないよねェ、いいヨ、生ちょうだい」
運ばれたのは一番搾りで、ほどなくオネバサン、
「お口に合いましたでしょうか?」
うなづきながら感心した。
大陸から渡来した娘たちによる接客とは
泥と雲ほどの差がある。
気分よく焼餃子1皿に春巻を1本お願いした。
=つづく=