2021年4月29日木曜日

第2643話 思い出すのは 越後の酒よ

「吉池」での買物を前に「味の笛」。

プラコップに注がれたドライをグイッ!

工場直送だから美味いなァ、ビールは鮮度が命なり。

 

つまみはポテトサラダ。

カオマンガイを小サイズに抑えておいてよかった。

2杯目はドライとアサヒ黒生のハーフ&ハーフ。

他店では味わえぬ至福のノド越しである。

 

そろそろ買物と思いつつも後ろ髪を引かれて日本酒。

ついでに鮭とばチップを―。

このとき、はるか昔の記憶がよみがえった。

あれは90年代の始めだったろうか―。

舞台はこれまたニューヨークだ。

 

ゴルフ&麻雀仲間に○○サンがいた。

今や某新聞社にて大飛躍を遂げられ、

イニシャルでも特定されてしまうため、

○○サンでいくしかない。

 

とある土曜日は1R回ったあと○○宅で麻雀の予定。

そんなケースはいつも気の置けない女性に

飲みものやつまみの世話をお願いしていた。

ホールアウト後、シャワーを浴びて出て来ると

フロントに呼び止められ、J.C.に電話だという。

 

○○宅に着いたM紀からだった。

次話にも再登場するH恵がチーママのクラブ「E」で

そこそこ人気を博していたコだ。

 

「オカザワさん、今ネ、お料理始めたら

 キッチンに日本酒がなくって・・・

 お部屋に一升瓶があるけど開いてないの、

 使っちゃっていいものかしら?」

「ああいいヨ、構わんヨ、開けちゃいな」

 

ほどなく4人の男たちは雀卓を囲んでいた。

キッチンから肉じゃがのいい匂いが流れてくる。

クラブでランチを食べたのでつまみ類はまだ先だ。

 

トイレに立った○○サンがあわてふためいて戻った。

「オカちゃ~ん、勘弁してヨ」

「何、ナニ、どうしたの○○サン?」

「オカちゃんがいいって言ったから

M紀は酒開けたんだってサ」

冗談じゃないヨ、いやマイッたなァ」

 

その日本酒こそ今J.C.の前にある越乃寒梅でありました。

何でも大事な広告主に頼まれて

東京からの出張者が運び込んだばかりとのこと。

 

抜かれたものは元に戻らない。

結局、ポン・チーやりながらみんなで飲んじまった。

図らずも開けられた一升瓶は

その日のうちに空けられました。

 

「味の笛 御徒町店」

 東京都台東区上野5-27-5

 03-3837-5828