その3日後、メトロ南北線を降りたのは白金高輪駅。
理髪の前に軽くランチのつもりだった。
四の橋商店街から三光坂下を流してゆく。
四半世紀近くも以前、NYから帰国した頃。
界隈にGFの住まいがあってたびたび出没したため、
白金には親しみを覚える。
港区にしては庶民的な町並みが好印象だ。
飲食店がずいぶん入れ替わって気に染まる店が見つからず、
田町と恵比寿を結ぶバス通りを西に向かい、スタスタと―。
通りすがったのは喫茶店「サンドリアン」。
利用したことはないが存在は認知していた。
そうだなァ、サンドイッチでもいっとこうか―。
入ってみると先客はゼロ。
窓辺のテーブルに着き、メニューに目を通す。
トーストやサンドイッチのラインナップが豊富だ。
ナポリタン、ミートソース、カレーライス、
ドライカレーにカレースパゲッティなんてのもあった。
スープ&ドリンク付きのセットが950円。
喫茶店のミートソースはわりと好きだからお願いした。
飲みものはアイスティーを。
一風変わったスープがお椀で運ばれた。
しいたけの香りが立ち上る。
具材は、桜海老、油揚げ、ほうれん草に
大根のかつらむき、いわゆる刺身のツマだネ。
そして一番底にしいたけが1片。
ちょいと意表を衝かれる吸い物だった。
キャベツの繊切りを従えたミートソースは
ケチャップの甘みが主張する。
細めの麺は茹で置きの柔らかめ。
子どもの頃から食べてるタイプに不満はない。
むろんタバスコとパルメザンを活用した。
レモンのスライスを浮かべたアイスティーも
久しぶりに飲んだがスッキリとよかった。
桜も散ってこれからはホットよりアイスの季節だ。
窓の外を往き来するバスを眺めながら、しばしくつろぐ。
会計時、マスターに訊ねると
夜はカラオケスナックになるという。
外苑西通りを左折。
首都高目黒線の高架下は旧くからある店々が健在。
焼き鳥「酉玉」、とんかつ「すずき」、「丸金ラーメン」、
しっかり生き残っている。
プラチナ通りの坂を上って白金台。
庭園美術館の長い列はけっこうな密。
土曜日だから若いカップルが目立つけれど、
酔った勢いで夜更けにドンチャンやるよりよほどいい。
まっ、同じ港区でも白金と新橋じゃ雲と泥ほどの差があるな。
もっともJ.C.はどっちも好きなんですけどネ。
「サンドリアン」
東京都港区白金5-8-14
03-3442-4125