最初に大相撲のハナシ。
今場所は再三、不運に見舞われた照ノ富士が
どうにか優勝してくれて溜飲を下げたが
14日目の遠藤戦の行司差し違えはないヨ。
空中回転した遠藤の勝ちにはあきれ返った。
柔道だったら間違いなく照ノ富士のきれいな一本勝ち。
畳に先に手をつこうが肘がつこうが
柔道はひっくり返したもん勝ち。
相撲と柔道は別物とはいえ、悪くても取り直しでしょうが―。
妙義龍戦のまげつかみも
ほとんど勝負が決したあとの故意ではない偶然によるもの。
野球でいえば、野手が一度捕球したボールを
ポロリとやるようなものだ。
仕方がない部分はあるけれど、反則負けは厳しいなァ。
横綱昇進に向けて照ノ富士の最大の難関は
対戦相手でもなけりゃ、自分自身の心でもない。
審判部長の師匠、伊勢ケ濱その人、皮肉だねェ。
気を取り直してその日、日本橋を渡り、日本橋室町に―。
町名の由来は平安京の時代、京都にあった室屋町だ。
その後、呼び名が室町と短縮され、
足利三代将軍・義満が当地に御所を造営して移ったため、
室町殿と呼ばれるようになった。
室屋(食糧庫)が立ち並んでいたことも
京都と江戸の共通点である。
そろそろ昼めしにしたい。
いくつかある“コレド室町”には多くの飲食店が入居するが
目抜き通りの小規模店は櫛の歯が欠けるが如くに消えてゆく。
都や国が税制面で何かしら優遇策を打ち出さない限り、
老舗は絶滅の一途をたどるのみ。
江戸の名残をいかにとかせん。
室町4丁目の「砂場」にやって来た。
通い詰めたとは言い難いが初訪から40年は経っているハズ。
西暦2000年をまたいだ数年間は
オフィスが近かったため、ひんぱんに利用した。
久しぶりの入店に、おや?
これほど照明が暗かったかな?
気のせいか・・・いや、明らかに暗くなってるゾ。
まっ、味に変わりがなけりゃ、それでいいんだけどネ。
でもやっぱり、そば屋は明るいほうがいいな。
緑茶を運んでくれたオネバさんに速攻で
別製ざる&もり(各650円+)を通した。
当店のざるは1種なのに昔からなぜか別製を謳う。
酒がダメならつまみは不要。
「砂場」に来といて麦酒も清酒も飲まないのは初めてだ。
最初に登場したざるはさらしな粉使用の色白。
強いコシが歯をはね返す。
キリリと締まったつゆはほのかな甘みをたたえ、
藪系のソレよりもやさしく、好みにぴったり。
薬味はさらしねぎと本わさび。
わさびが香り高く、辛味もじゅうぶん。
2分後に挽きぐるみ粉のもりが追いかけてきた。
こちらは歯をささやかに受けとめて控えめに押し戻す。
湯桶(ゆとう)の提供、お冷やの注ぎ足し、
オネバ&オネエさんの接客に心がなごむ。
極上のそばを2枚いただき、支払いは1430円也。
1枚千円のそばが横行する時代に良心的な価格設定が光る。
禁酒令が解けた暁には馳せ参じ、ぜひ一献傾けよう。
室町に「砂場」あり、つくづく実感した。
「室町 砂場」
東京都中央区日本橋室町4-1-13
03-3241-4038