この日の昼めしは遠出せずに済ませるつもり。
だとしても未訪の店がいいな。
出向いたのは団子坂近くの「鳥安」。
イートイン店舗を併設する鶏肉専門店は
片手間にうなぎも取り扱う。
いや、片手間は失礼だネ。
何度も鶏肉を買ったが食事はしていない。
13時を過ぎても席の半数は埋まっている。
その後も客足が途絶えることはなかった。
昼の主要な献立は三択。
うな重(1630円)
焼き鳥重 からあげ定食(各770円)
うなぎをトライした。
レギュラーメニューのうな重は
(竹)(松)(特)の3種で2450~3060円。
すでに焼き置かれた蒲焼きを温めるだけなので
配膳はいたってスピーディー。
重箱には上(カミ)に加え、下(シモ)はハーフ。
四分の三身が横たわっていた。
シモから箸をつけるも特有の力強さが感じられず、
うなぎを食している気がしない。
粉山椒を振ってはみたものの、これもパンチ不足。
重箱の隅までびっしり詰まった白飯をどうすっかなァ。
主役の不調をカバーしたのが脇役陣だった。
温泉玉子は黄身の固まり具合よろしく、
きゅうり・かぶ・大根・白菜の新香も
浅い漬かりでまことにけっこう。
肝吸いならぬ、味噌椀はじゃが芋&わかめだ。
うなぎ屋で芋かよぉ、ダッセエなァ。
なんて野暮は言いっこなし。
すると思いのほか、じゃが芋が旨いんでやんの。
拍子木に切られたのがいっぱい入ってた。
とにもかくにもうな重をいただいて
二千円でオツリだから、けして文句は言えない。
とは言え、お冷や代わりの冷たい緑茶を飲みながら思う。
うなぎはやはり心と時間に余裕を持って
ゆっくりじっくり鰻屋で味わいたいもの。
われわれ庶民には多少の背伸びが必要な食べものなのだ。
もちは餅屋の言葉を残した先達に倣えば、
とりは鳥屋、うなぎは鰻屋。
「鳥安」は鶏肉専門店だから
焼き鳥重を通すのが筋であった。
「鳥安」
東京都文京区千駄木2-13-1
03-3821-1301