JR御茶ノ水駅のそば、駿河台のニコライ堂前に居た。
日本正教会の大聖堂は1891年の竣工。
クリスマスのミサだったかな?
はるか昔、学生時代に一度だけ入堂したことがある。
おっと、藤山一郎が歌い出した。
♪ 現(うつつ)に夢見る君の
神田は想い出の街
今もこの胸に この胸に
ニコライの 鐘も鳴る
楽し都 恋の都
夢の楽園(パラダイス)よ 花の東京 ♪
(作詞:門田ゆたか)
「東京ラプソディ」は1936年6月のリリース。
み月前の東京で二・二六事件が勃発している。
駿河台から神保町に降りて来た。
ナポリタンでも食べようか―。
目当ての喫茶店に来ると、ただ今休業中。
その向かいに石窯ホットケーキが人気の「タムタム」あり。
アッシには関わりのねェ食いモンながら
友人にもらった“喫茶本”により知り得た。
店先を素通りして数歩・・・血迷ってたんだねェ。
こんな機会でもなけりゃ一生わが口には入らぬ代物。
ええい、イッたれ!
8割方埋まった店内のカウンターに案内される。
客の男女比は2:8ほどだ。
メニューを開くとトーストもクロックムッシュも
カレーですらも、みんなアタマに石窯焼きの文字。
経営者はよっぽどアタマが固いものとみえる。
本当はカレーにしたいが血迷いついでだ、ホットケーキよろしく。
スタッフに20分かかると言われた通り、20分後に焼き上がった。
こりゃまたドデカいな、鏡餅の一番下の段くらいはあるぜ。
こんもりお山のてっぺんにバター1片。
サイドの大盛りホイップドクリームにスペアミント一葉。
メープルシロップは陶器のピッチャー入り。
以上、脇役陣である。
セットのコーヒーがマイルドorエクセレントの2種あり、
たぶんこっちが深煎りだろうとエクセレントを―。
途中からあり余るホイップドクリームを落として
ウインナーコーヒーにしてみた。
その助けを借りながら今日も頑張った。
心の内でベルリン五輪の実況中継さながらに叫ぶ。
(J.C.がんばれ、J.C.がんばれ、
がんばれ、がんばれ、J.C.がんばれ!)
結局は薬局、4分の1を残してプールの底に沈んだ。
ビールの代わりのお冷やをグイッと飲って思う。
食べつけないモンを食べるもんじゃないや。
人生最初で最後の注文品。
その残骸を前にして自省することしきりなり。
「石窯 ベイクブレッド
茶房 タムタム」
東京都千代田区神田神保町1-9
03-3295-4787