2022年2月1日火曜日

第2941話 これぞ元祖のカレー南ばん

理髪の前に昼食をと中目黒へ。

カレー南蛮発祥の店、

「朝松庵(あさまつあん)」は

目黒銀座の奥にある。

 

品書きの裏面にあった四代目の一筆、

カレー南ばん・カレー丼の由来によれば、

明治41年、「東京そば」と号して大阪・谷町で創業。

 

二代目酉之介が発案した南ばん&丼を引っ下げ、

翌々年、東京に進出する。

当初は苦労したが、やがて開花期を迎え、

現在まで変わらぬ味を継承している由。

 

ちなみに相撲界におけるタニマチの由来は

明治中期、南区谷町6丁目に開業した、

外科医・薄恕一(すすきじょいち)。

力士、殊に幕下を無償で支え続けた好角家だ。

 

カレー南ばんをうどんでお願い。

本来そば派だがカレー南ばんは熱く冷めにくい。

猫舌が挑んだら、そばだとノビちゃうからネ。

品書きに“南ばん”とあるのは

イメージの悪い“蛮”の字を避けたのだろう。

 

うどんはずいぶん長く、柔らかかった。

割り箸だけだと食べづらい。

具材は豚肉と玉ねぎのみ。

小皿のさらしねぎは白い部分だけで上品。

 

カレー汁とかけづゆが一体化したスープは

つゆを張ったところに餡をかける、

いわゆる二段スタイルではない。

よって味のメリハリに欠けるが

上手くまとまり、美味しく仕上がっていた。

 

前述の元祖云々について、実はかつてもう1軒、

元祖と言われる店が存在した。

早稲田の「三朝庵(さんちょうあん)」だが

2018年夏に突如として閉業した。

 

どちらが本当の元祖か論争もあった。

結局、向こうはそばでこっちはうどん。

これにて一件落着を見たものの、

何だかなァ、眉つば感否めず。

 

さてその後、とどこおりなく理髪を済ませ、

五反田のいつもの店へ向かったが

この日は開店まで時間が余り過ぎ。

方針を転換し、人形町あたりで飲む気になった。

 

都営三田線ホームに降りると

成田空港まで行く電車のドアが閉まったところ。

同時に反対側の西馬込行きがすべり込んで来た。

う~ん、こっちでもいいや。

さっき方針転換したばかりなのに

今度は方向転換の巻でした。

 

「朝松庵」

 東京都目黒区上目黒2-42-12

 03-3712-1807