北区・十条の「玉屋」。
先代ゆずりの仙人ラーメンは
店の内・外装と裏腹にゴージャスだった。
どんぶりを彩るのは
もも焼き豚・シナチク・ナルト・ほうれん草、
そして半割りのゆで玉子。
はは~ん、犯人はこの半玉である。
物価の優等生の玉子だから
日本中が貧しかった時代すら
大したぜいたく品ではなかった。
しかしラーメンの具にはリッチすぎる。
あの時代、ゆで玉子が入ったり、
入らなかったりするのは単価の高い、
五目そばと相場が決まっていたんだ。
味玉トッピングなんてのも
ついぞ見たことがなかった。
細打ち麺はややちぢれ。
スープは煮干し&鰹節だそうだが
魚介をさほど感じさせない。
むしろ鳥ガラが主張している。
豚コツを使っているかも?
昭和のラーメンとしては
上品すぎて懐かしくなかった。
30年代からこんなに洗練されたスープを
作っていたのは驚きである。
焼き豚・玉子・ナルト・青ねぎ入りの半チャーハン。
ん? 「玉屋」は芸が細かいねェ。
お通しのシナチクにはねぎの白い部分。
仙人ラーメンに浮いていたのも白かった。
白&青を使い分けているんだ。
J.C.はたまさか自宅のキッチンで
中華鍋を振ったりするが
チャーハンや焼きめしには青い部分がよい。
ちょいと焦がしてやると風味が増してくる。
それにしても麺を半分にしといてよかった。
お勘定は1400円。
「ごちそうさまでした」
「ありがとうございましたァ!」
ハハハ、二人の声がハモッてる。
ラーメンの味がしっかり妻と娘に引き継がれ、
仙人はさぞかし、
草葉の陰で歓んでいるに違いない。
「玉屋」
東京都北区十条仲原2-3-8
03-3908-0068